「だーーーっ、やめろーーーっつーのっ!!」
「だいじょうぶだよ、みさみさが看病してあげるぅ〜!」
レンは美沙に『地獄の拷問』・・・いや、看病を受けていた。 「ひとが具合悪くて寝てんのにへらへらと来やがって〜!」 美沙がレンのベッドによじ登ってきた。 「ホータイとりかえましょうね〜」
「なにが、『ホータイとりかえましょうね〜』っだ!!おまえにはさわらせてやらん!!」
「ぶ〜〜〜っ!なにそれ〜〜」
「あっかんべ〜〜だっ!!」 美沙にあかんべえする大人気ないレン・・・ そのせいか、美沙の闘争心に火がついた。 「ううっ、言うこと聞かないなら力ずくでも脱がせてやるぅ〜〜!!」
「ちょ、ちょっとタンマ!!お、おい、美沙、やめよ、な、ホータイのとりかえは姉さんからやってもらうから・・・・な・・・?」
「うがぁーーー!!」 美沙が狂犬のように飛び掛ってきた!! 「うわーーーーっ、お助け〜〜〜!!」
「美沙ーーーーっ!!!」 いきなり、姉、瑞樹の怒鳴り声がレンの部屋に響きわたる。 美沙は瑞樹にむんずと洋服の後ろ襟首のところをつかまれ部屋を出された・・・。
「す、すまん、姉さん助かった・・・・。」 「まったくもう、美沙ったらあれほど身体が治るまではレンには近づかないように言い聞かせてたのに・・・ごめんね、レン・・・」
「いや、いいんだ。姉さんもいろいろと忙しいんだろ?身体に無理するなよ」 「ありがとう、レン」 「そういや、ラムはどうしてる?」 「ええ、ラムさんだったら順調に回復してるわ。やっと自分で立って歩けるようになったし・・・」
「そっか、・・・あいつ、まだ、トゲトゲしいか?」 レンの質問に対し瑞樹はにっこりしながら首を横に振った 「ううん、まるで別人のようだわ。すごくおだやかで、いうことは聞いてくれるわ。ただ、自分をすごく責めてるみたいなところがあるから精神的にもケアは必要ね。本人の負担になるといけないからみんなお母さんのことにはふれないようにしているわ」
それを聞くとレンはすごく安心した顔つきになった。 「そっかあ、よかったぜ。・・・あいつのことだから、意地張って瀕死の身体をひきずってでも帰ってしまうかと思ったぜ・・・」
「その心配はないかも・・・・。もう、あの人に邪念はないもの・・・。普通の女性に戻ったのかも・・・」
レンは会話を続ける 「そういや、ミィミは?」
「ミィミちゃんはもう学校に行ってるわよ。そろそろ帰ってくるんじゃないかな・・・」 そんなことを話している内に、階段を駆け上がってくる足音が聞こえた。 その足音は、レンの部屋の前で止まり、扉をノックする音が聞こえた。
コン、コン
「おお、入っていいぞ」 レンが返答する
ガチャ
制服姿のミィミが心配そうにレンの部屋に入ってきた。 「・・・・ただいま・・・具合はどう?・・・」 レンと瑞樹がニッと笑みを浮かべながら言葉を返す 「おかえり・・・おれは大丈夫だぜ」 「おかえりなさい。学校どうだった?」 ミィミは頬を赤らめながら下を向き照れながら話す 「今日、あたしの味方をしてくれる友達が出来たの・・・」 レンと瑞樹はその報告に喜んだ 「おおっ、よかったじゃないか!これで、少しは学校が楽しくなるな・・・・テストさえなければ・・・・」 「それはレンだけでしょ!」 「あ、やっぱり・・・。」 3人はレンのくだらないつぶやきに笑ってしまった。
「さあて、おやつ作りますか。」 瑞樹が立ち上がった。 「二人とも、ホットケーキでいい?」
「おお、いいぜ」 「・・・ミィミも手伝う・・・」
「じゃあミィミちゃんお願いね。レンゆっくり待っててね」 そういうと、瑞樹とミィミは部屋を出て行った。
レンはベッドで背伸びしてから窓の外を眺めた。 「そっか、よかった・・・。でも、まだ、おわりじゃないんだ・・・。これから厳しくなるかもな・・・・」 レンはこれから起ころうとしている戦いに不安を感じずにはいられなかった。
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そのころ、瀬那、美花、北条は早乙女家の神社入り口の階段の最初のところに来ていた。
北条が長く続く階段を見つめ、深いため息を付く 「早乙女家の高見ヶ咲神社は高台にあると聞いてはいたが、これほどのものとは・・・・。」 瀬那が嫌味まじりに北条に言う 「どうしたのー?もしかして、上りきる自信ないのかな〜。も・や・しク〜ン」 それを聞いた北条はカチンときた 「ふっ、何をいう?こんな階段ごときで怯むなど、北条家末代までの恥。こんな階段上りきって見せよう!!」 そういうと、北条はすたすたと階段を昇り始めた。
「よし、美花、行こっ」 「はい」 瀬那、美花は1段飛ばしで階段を駆け上がってゆく。 それを見てあせる北条 「なにぃ〜!!段飛ばしだとおぉ〜!!」
「はやく上ってきなさいよ〜。」 「北条さんはゆっくりでよろしいですから、わたくしたちは先に行っておりますわ・・・」 二人の姿は見る見るうちに北条から遠ざかっていった。 「おのれ、北条家の長男たるこの私がおなごに負けるなどと!!」 北条の階段を昇るスピードが上がる。それと同時に息も上がってくる 「ぜーはー、・・・ぜーはー・・・、ぜーー、ぜーー」 (どんだけ体力無いんだよ、こいつは・・・)
やっと、階段を昇りきり神社の境内へ着いた。 「けっこう、運動になりそうですわね・・・」 「うさぎ跳びしながら、往復しろって言われたら結構キツイかもね」 二人が階段を見下ろすと、北条が木の棒を杖代わりに息を荒げながらゆっくりと上がってくるではないか・・・ 「レ、レディたち・・・ちょっと待ってくれたまえ・・・・・ぜー、ぜー」 「辛そうですわね・・・」 「やっぱ、もやしクンだわ・・・」
瀬那たちはレンの家の玄関に来てインターホンを押す
ピンポーン
しばらくすると瑞樹の声が聞こえた 「は〜い」 瑞樹と美沙が玄関に出る 「あら、瀬那ちゃん、美花ちゃんいらっしゃい」 「わーい!お姉ちゃんたちだ〜!!」
「レン君、どう?今日もプリントとか持ってきたんだけど」
「レンは元気よ。あれ、後ろの男性の方は?」 「えっ?」 すかさず北条は瑞樹へ接近しその手を取り挨拶を始める。 「はじめまして、美しきレディ・・・。私は北条正光という者で、陰陽師の末裔なる者です お近づきのごあいさつにこのキスを・・・」 北条が瑞樹の手の甲にキスしようとした瞬間、瀬那の右ストレートが北条に炸裂した!
北条は吹っ飛ばされ、下駄箱に頭をつっこんでしまった。 「・・・痛いじゃないか・・・・」
「なにが「痛いじゃないか」よっ!!初対面の女性に何してんのよこの変態!!」 瑞樹と美沙はきょとんとし、美花は苦笑していた。
「とりあえず、みんな上がって頂戴。北条さんもどうぞ・・・」 (瀬那、美花)「おじゃましまーす」 (北条)「では、失礼する」 (瀬那)「あんたはもう、『失礼』してるでしょーが!!」 (北条)「何をカリカリしているのだ・・・」
リビングではレンとラム、ミィミがホットケーキを食べながら談話していた 「おお、瀬那、それに美花も・・・」 「レン君だいぶ良くなったみたいだね。・・・ラムさんはどう?」
「ええ、おかげさまで動けるようになったわ・・・」 ラムは穏やかに答えた。
「良かった!二人とも順調じゃん!!」 瀬那は喜びつつ答えた。
レンが後ろに居る男性に気づいた。 「だれだ?お前?」 北条は眼鏡をツイッと直すとレンに近づく 「キミが、早乙女レンだね・・・・。ボクは北条正光。陰陽師の末裔さ。・・・なるほど、祖父からは聞いていたが君が「竜の印」を持つ者か・・・」 レンが驚きつつ尋ねた 「おまえが、かあさんが言っていた「陰陽師の末裔」か!?まさかこんなに早くあえるとはな・・・」
「いかにも、ボクはキミに「竜の印ドラゴンエンブレム」が真価を発揮させるための力「真竜印」をさずけるために来たんだ。」
「・・・真竜印・・・?」
ラムが口を開いた 「・・・真竜印・・・それは陰陽道(おんみょうどう)における竜の印の真価を開放するもの。竜の印は継承されたときは不完全で攻撃、癒し共に3分の1以下の力しか発揮できない。真竜印を受けることにより、竜の力は100パーセント出せるようになるらしいわ・・・」
「よく、知ってるね・・・」 北条がラムを見つめる
「昔、考古学を研究しててね、書物で「陰陽道」 をちょっとだけ読んだことがあるのよ・・・知ってるのはそのくらい・・・」
「上出来だよ、そこまで知っているのなら話は早い。レン、キミには「真竜印」を受ける資格がある。ボクの儀式を受けたまえ」
北条の態度に対しレンはムッとする 「受けたまえって、おまえなあ・・・なんだよ、初対面から『上から目線』かよっ!「受けてみてくれないかなあ」とか、「ぜひ、お願いします」とかだったら考えてやるけどよ・・・」
瀬那もレンの意見に同調する 「ホントっ、こいつムカツクよね!!御高く留まってさ!!」
北条は眼鏡をツイッと直すとこう答えた。 「あいにく・・・・、ボクはキミのような知能の足りなさそうな凡人に下げられる頭は無いんでね。「力」が必要かと思い、こちらからわざわざ出向いてやっただけでもありがたいと思いたまえ!! 「力」が欲しくないなら、ボクは帰るよ」
レンがわなわなと怒りだした 「・・・んだとぉ!!この野郎!!言わせておけば!!」
ラムが制止する 「レン、やめてちょうだい。その人の言うとおりだわ。ウロボロスはこれから本格的に戦力を増強し強敵を送り込んでくるに違いないわ・・・・。『竜の印の力』を完全に使いこなせるためには『真竜印』はどうしても必要よ。お願いだからその人の言うとおりにしてちょうだい・・・」
しかし、レンは北条の高慢さに頼む気にもなれない。 「うう、でもおれは・・・」
「ばっかもーーーん!!」
ビシイイイイッ!!
レンは辰次郎に思いっきり背中を叩かれた 「痛ってーーー!!」
「ラムのいうとおりじゃ!!『真竜印』は受けなければならないものじゃ!!わざわざ遠いところから正光君を呼び出したというのにおまえはなにをくだらない意地を張っておる!!」
「ええーっ!!じじぃーが呼びだしたのかよーっ!!」 「そうじゃ!!」
「ご無沙汰しております。お爺さん」 北条は辰次郎に頭を下げる。
「おお、正光、元気じゃったか?」 「はい、おかげさまで」
(なんか、態度ちがう〜) レンと瀬那は呆然と二人のやり取りを見ていた。
辰次郎は正光に頭を下げた 「ワシからもお願いしたい、正光、レンに『真竜印』を施してやってくれ!!」 「わかりました。お任せを!!さあ、レン君今から始めようではないか!!」
「ええっ!!今から〜〜!?」
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北条は神社の境内の中になにやら書物を見ながら大きな法陣を書き始めた。 その五角形の形をした法陣は角から角へ対角線に線で結び合わされており真上から見るなら、五等辺の星の形を成している。 法陣の四隅には清めのためなのだろうか、「塩」が山盛りされてある。
北条が法陣を書き終えるとこちらに歩いてきた。 「コホン。では、説明しようか・・・。 これから、レン君に『真竜印』を施す前に、君たちの役割について知っておいてもらいたい。真竜印は陰陽道における『五望星法陣』、すなわち「仁、義、礼、智、信」を構成することにより竜の力を解放することにある・・・。 ほんとうは『選ばれしもの』すべてがそろわなければならないのだが3人以上がいれば大丈夫らしい。
瀬那が質問する 「ここには誰が選ばれた人になるの?」 北条が答える 「いい質問だね、これから陰陽道星占術で名前を呼びあげてゆくから指示にしたがってくれたまえ 北条が右手を天空へかざし目を閉じた。すると彼の身体は青い光で包まれはじめた。
「・・・・仁の熱き心を受け継げし者・・・・早乙女レン・・・・法陣の先端「仁の領域」へ、キミが『真竜印』を継承するものである・・・・」 レンはいわれるがままに法陣の先端(五等辺星でいえば頭になる部分)へ立った。
「・・・・義を愛する正義感を貫く者・・・伊吹瀬那・・・・・義の領域へ・・・」 瀬那もまた黙って、義の領域(五等辺星でいえば左辺)がある法陣へ向かう
「・・・・礼を尽くし全うする者、播磨美花・・・・礼の領域へ・・・・」 「はい」 美花は返事と共に礼の法陣の領域(五等辺星でいえば右辺)へ移動し始める。
「・・・・智を司りし者北条正光、智の領域へ・・・・」 そういうと、北条は智の領域(五等辺星でいえば左下辺)へ歩き出した。
北条が目を開ける。 「信を持つ者は残念ながらこの場所にはいない。代替として、ラムさん、やっていただけますか?」
しかし、ラムは断った 「ごめんなさい、私はその法陣には入れないわ、ウロボロスにいたせいで身も心も汚れてしまっていたから・・・。」
「じゃあ、じゃあ美沙がやるぅーー!!美沙、巫女だし!!」 北条の眼鏡がキラリと光る 「・・・対象年齢13歳以上!!」
ズルーーーっ!! (美沙は10歳です・・・。) 「私がやります・・・・」 美沙を押しのけ瑞樹が「信の法陣の領域(五等辺星でいえば右下辺)」へ入った。
辰次郎、美沙、ラム、ミィミはその状況を見守っている。
「・・・・選ばれしものはここに集った!!あまたの空巡る星ぼしよ!!陰陽師77代目師範北条正光 の願い、聞き入れたまえ!!ここに竜の印を継承し者早乙女レンあり、彼は大いなる力『真竜印』を求め、その力を発揮すべし者。彼に真竜にまつわる幾多の力と再生の力を付与したまえ!!」
そのときだった、天空が開け、夕方の神社の辺りだけ闇に包まれ地上から閃光が天空に向かって放たれた!! レンの身体に青い光のエナジーが降り注ぐ 「うわあああ、くっ!!」 レンは身体に今まで以上の力がみなぎってくるのを感じた。 レンの右手の甲には竜の印に加えて五望星が重なって浮かんでいた。
瀬那、美花、北条の額にはそれぞれ「義、礼、智」の文字が浮かんでいた。
「これが、・・・真竜印・・・!!」
やがて、降り注がれていたものはやみ、空も元の夕焼け空に戻った。
「・・・ふう、これで完了だ・・・・」
「おお、ついに、真竜印を受けたか!!」 辰次郎は大喜びする。 「すごーい!!レンおにいちゃま!!」
ラムはかすかに微笑んでいた 「この子なら、きっと・・・世界を守ってくれる・・・・」
北条がレンに近づき、右手を差し出した。 「・・・おめでとう。これで君も十分に戦えるだろう。ボクも『竜の印に導かれし者』だ。君たちの力になろう・・・・これからよろしく・・・」
レンは硬い握手を交わす 「よろしくな、北条・・・・」
北条はみんなの方を向いて語りだした。 「みんな、聞いてくれ。風のウワサなのだが「信の心を持つ者」、すなわちわたしたちの仲間はすでに単独でウロボロスと戦っているらしい・・・。その者を探し出し、みんなで力を合わせる必要がある!」
「そうなのか、たったひとりで・・・・。はやく見付けてやんないとな・・・・」
「じゃあ、ウロボロスと戦いながら仲間探さなきゃね!」 「はやく、その方にもお会いしたいですわ!」
「まあ、あわてることはないさ。時期に逢えるだろう。」 「そうだな、とりあえず体調が回復したら仲間探し始めるとすっか!!」
仲間もそろい、新たな力「真竜印」を受けたレンは希望に満ちあふれ、 改たに戦う決意を固めるのであった
第12話 END
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