季節の終わり。
からっぽのその身体は短い時間の使命を終え、ばらばらと分解されて土に還る。
一枚の羽が風に煽られ肩をかすめた。
何よりもその身体の要だったはずのそれも、今は誰も求めはしない。 まわりの誰も、それ自身も。
感じられる僅かな時間の中で、からっぽの蟲は何を感じ、何を伝え、 何を求めていたのだろう。
煩い程鳴り響いていた存在を主張する音も、 耳の奥から消え去り過去のものとなる。
儚さの、象徴。
自分のように無駄を感じ生き続けるよりも、君のように。 許された季節だけを精のいっぱい過ごした方が、 幸せを感じる事が、出来るのかも知れないね。
今は誰も求めなくても。 君自身が動いていた時に、何よりも君自身がその全てを強く求めていた事、 僕は知っているから。
君の声で始まりを知り、君の骸で終わりを感じる。
…声が途切れ、またひとつその使命を終えた身体が地に落ちた。
アスファルトでは、痛いだろう…
その小さな身体をそっと拾いあげ、掌で包む。
廻りを見渡し、少ない土の場へゆっくりと降ろす。
…お帰り。
土の優しい言葉を君は聞いて。 土の優しさに包まれ、眠る。
君のように、なりたい…
小さな存在に憧れを抱きながら、 新しい季節の始まりを感じた。
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