僕は肘を何かの角にこするのが大好きです
机の角
棚の角
柱の角
特に好きなのが あのマンションの角です
僕はよくあのマンションに行って 角に肘をこすりつけます
ある日、僕がいつものように マンションの角に気持ち良く肘をこすりつけていると 後ろから誰かが肩を叩きました
振り向くとそこには すごく頭のハゲたおじさんが立っていました
管理人のおじさんです
おじさんは 「こんにちは、私はマンションの角の精だよ」 と言いました
「おじさん管理人じゃないの?」 と聞いたら
「おじさんはマンションの角の精だよ ほら、羽と触角みたいな物が生えているだろ」 と言いました
「見えないけど」 と言うと
「ぬふ〜〜〜ん゛」 と笑いました
そしておじさんが 「私の頭も肘でこすってごらん」 と言いましたが 気持ち悪かったので断りました
でも 「ほら、ほら!」 と促すので仕方無しに 肘で頭をこすってみました
するとおじさんの頭の皮がズルっとめくれました
おじさんは 「気持ち良いくらいに簡単にめくれて すごく気持ちが悪いだろう ぬふ〜〜〜ん゛」 と笑いました
そして 「めくれた部分に塩をまぶしてごらん」 と言うので 言われた通りにしました
「おじさんそれどうなるの?」 と聞くと
「ヒリヒリと痛むんだよ そして夜になるとね…
ジンジンと痛むんだよぉー!!!! ぬふ〜〜〜ん゛!!!!!!!」 と言いました
そしておじさんは 「私はマンションの角の精だ 君の願いを一つだけ叶えてあげよう 何でも好きな願い事を言ってごらんなさい」 と言ったので
僕は 「弟が欲しい」 と言いました
するとおじさんは 大きな卵を出して 「ほら、これは人間の卵だよ これを君にあげよう」 と言いました
卵は直ぐにひびが割れて 中からよぼよぼのおじいさんが生まれて 直ぐに死にました
僕は 「もっと長く生きるやつが欲しい」 と言いました
するとおじさんは もう少し小さい卵を出して僕にくれました
中から小さな赤ん坊が生まれ 僕は、一つの真実を追求し見極められる人間になって欲しいと言う思いを込めて 「真一郎」と名付けました
しかし真一郎は小さすぎてつまらないので 「もう少し大きい遊べるやつがいい」 と頼むと
おじさんは 「その子を振りくってごらん」 と言うので
僕は真一郎を振りくりってみました そうすると真一郎は少し大きくなったので 僕は一心不乱に真一郎を振りくりました
そして直ぐに立派な青年に成長しました
しかし見た目は立派な青年になりましたが 振りくりまくったので頭は知恵遅れになりました
「でも知恵"遅れ"と言っても 待っていて追いついて来るものでもありませんから 知恵"足らず"と言うのが正しいのではないでしょうか」
と、真一郎は言いましたとさ
〜おしまい〜
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