真が向かった玄関の前で警官たちが、その状況に唖然としている。近づく真を見つけた警官は、真にたずねた。 「何があった。爆発があったと聞いているが、大勢の人間が倒れているぞ」 「はい。その人たちはこの家に押し入ろうとした人たちです」 「何? それが、なぜ倒れている?」 「はい。よく分からないのですが、襲ってきた者の中にいた化け物が突然爆発したんです。化け物って、あれですよ。皆さんのお仲間である警察官や治安関係者を襲っているやつですよ」 「何?本当か?」 「はい。しかも、爆発してしまった奴以外の一匹を捕まえています」 「捕まえている?どこに?」 「あそこです」 真が化け物を閉じ込めている落とし穴を指差す。警官たちの顔色が変わった。警官たちは慌しい動きになり、一人が本部に指示を仰ぐため、戻って行った。
残っていた警官たちが恐る恐る落とし穴を覗き込んだ。中は深く、しかも夜と言う事もあって、のぞいただけでは底は見えない。一人の警官がライトを取りに戻った。すぐにライトを取って戻ってきた警官は、落とし穴の中を照らした。 そこには、深い穴の中でぐったりしている化け物の姿があった。 「間違いない。あれだ」 「完全な状態の一体だ」 「ああ。これはもしかしたら、手柄かも」 「そうだな」 警官たちの表情が一瞬緩んだ。しかし、その次には厳しい表情で、真を見た。 「しかし、何で民家にこんなトラップがあるんだ?」 警官は真の方を向いて、強い口調でたずねてきた。 「あ、はい。以前、泥棒に入られた事があって、そのためセキュリティを考えて、造りました」 「お前、これが人間なら、死んでるんじゃないか?」
「は?平気で人を殺すような鎮圧をしてるお前らに言われたくない」 全く人は自分の事を棚に上げて、他人を平気で非難する。 それが滑稽な発言だと気づかず。 そんな言葉が脳裏によぎったが、真は大人である。
「もちろん、化け物だと言うのを確認したから、使ったんですよ。人間には使いませんよ」 へらへらと媚を売るような口調で真が言う。 そんな頃、指示を仰ぎに行っていた警官が戻ってきた。
「このまま、逃げれませんよね?応援部隊がここを取り囲み、明るくなってから、穴から引き上げ、連行するそうです」 「分かった。それまで、外の現場検証と事情聴取をしよう」 そう言うと、警官たちは私の家の庭に飛び散った男達の破片の状況を調べ始める共に、私達にも事情を尋ね始めた。 ただ、私だけは隠れていたと言う事で、事情聴取はすぐに終わり、一人二階に上がり、ベッドの上に横たわった。
風向きによっては、家の中にまで入ってくる血のにおい。そして、警察、つまり政府側の治安関係者と言う私が許せない相手が近くにいて、祖父や真が事情を聞かれていることで、私はとても嫌な気分になり、悶々とした気分のまま暗闇の中、ほのかに見える天井を眺め続けていた。
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