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作品名:ネオ・反復の時 作者:くーろん

第16回   ジムで筋トレ
可奈子がジムトレーニングウエアのスポブラで胸を張る。
クランチのハンドルを握った腕、膝を90度に曲げた状態のまま肩甲骨辺りから上体を丸める腹直筋の厚みが増しくっきりとシックスパックスが見えた。
可奈子は筋トレで鍛えた腹に腹筋割が確認できた。
さらにバストアップのために大胸筋を鍛えるためにベンチプレスでバーベルを持ち上げ、インクラインプレス ダンベルもした。

マシンから降りた可奈子のスポブラの背中に汗で濡れている。
ベンチに腰を下ろしタオルで額の汗をぬぐい肩にかける。
ケイタイを見てしまう。すぐにケイタイを見る癖はよくないと思っている。
彼女にとってジムトレーニングは自分の身体を魅力的にする目的であり気晴らしでもあったが、今日は退屈を感じたからケイタイを見たのだろう。
時間の進みが遅いと思えるから退屈を感じる。
だから、ケイタイを見る。

なぜ、時間の進みが遅いと思えるのか。
彼女は待っているのだ。零人からのLINEトークが来るのを。
しかし、天気予報を見たり今日の運勢占いを見たりしてまだトークが来ていないという事実が待つという退屈に付き合わされるのがどのくらいになるのか知りたいからだ。

ケイタイの日付から再会後にホテルのラウンジカフェで会って仕事を頼まれてから何日にもなるが彼から連絡はない。
あの時、零人の彼女とか言うスーパーモデルのリカコに逢った。
可奈子は鳩胸のバストには自信があるが、リカコの9頭身に対抗意識が起きた。
だから、今こうしてここでジムトレーニングで身体を鍛えてシエープアップをしている。

零人との仕事は音楽関係のAIエンターテイメントだと言っていたが、年俸契約で500万という破格だが具体的な仕事の指示が来ない。
月割で振込はされているのだが、このまま何もなしで1年過ぎてしまうかもしれない。
1年後には500万を何もしない自分が受け取っていたとしても、そのまま、次の契約はなしで切れてしまうのかもしれない。
お金なんか本当は自分があてにしていないことがわかった。
零人は社長で忙しいから彼女のことを忘れてしまったのかもしれない。
あるいは、あのリカコとかいう女がやはりNo.1だからリカコのことで忙しくて自分は忘れ去られた存在になっているのかもしれれない。
だから、彼女はジムトレーニングの最中にケイタイを見た。ジムトレーニング中に退屈を感じたからだ。ケイタイを見たのは気晴らしと言い聞かせながらも零人からのLINEを待っていたのだ。

彼女がケイタイをベンチに置いたとき、ケイタイにLINEが入る。
可奈子が零人に自分の今の思いが届いたんだのかと期待してケイタイを手に取る。相手は零人でなくサナエからだった。

サナエから中学のときに百合告白されて互いの秘密を知ってからも付き合っていたが、可奈子はサナエと深い関係にならないようにしていた。
サナエは薬剤師をしているが、最近、医学部編入試験に合格したという知らせだった。

可奈子はサナエが薬局で働く薬剤師に満足していないこと、医者になりたいということは以前に聞いていた。サナエはLINEトークで薬局も辞めたので大学に入る前に可奈子に会いたいと言っている。
都内の百貨店で古代オリエント遺物展のチケットを2枚あるから一緒に行かないという誘ってもいる。

可奈子はサナエへの百合の複雑な思いで迷いもあったが、今は零人と逢えていない退屈感と気晴らしにサナエに逢うのもいいし成り行きでは百合で遊ぶのもいいかと興奮を覚えた。

可奈子は合格おめでとうとサナエに誘いにOKとトークで返した。


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