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作品名:ネオ・反復の時 作者:くーろん

第11回   父の回想5
零人が社長になることが決まって社長になるための特別教育研修プログラムを受けることになった。
スーパーモデルもしている藤谷二コラがインストラクターとなり実施される風変りなプログラムであった。
二コラのようなボディコン美女がインストラクターをするとなると零人は最初は個人授業に期待感を抱いたが、初っ端から違っていた。
二コラがボディコン美女でありながら彼には自分が強く性的に抑制されていると感じられた。
二コラの存在は零人を色気のない味気ない現実で自分を見出す現存在にしていた。
これは二コラが発するオーラのようなものかもしれないが無色無臭で冷たいものであり、彼を理性的にするように追い込んでいた。
彼は背水の陣のような緊張を強いられる。
それは二コラの存在が作り出す気分的状態性である。
二コラのプレゼンは明解で無駄がなく彼の脳が純粋理性を最大限に働かせてフォローして行かなければならない。

彼は途中でフォローできなくなりギブアップすることがあった。
そんな彼を二コラが優しい言葉で励ますということはなく、「私の目をしっかり見て」と顔を近づけてきつく責めるように言うのであった。
零人は頭の中がフリーズしているのに、二コラの空色の瞳孔を開いたり閉めたりして見せる。
それからペーパーミント系メントールの香水のような匂いを感じる。
二コラのボディコンが誘因している幻臭かもしれないと零人は自分が疲れているからと思い、彼の現存在が用意する恐れが彼を身体的に注意深くさせる。
こうして彼は身体性から再び自分の理性のほうへ向かいさらに純粋理性の足場を捜している。
そんな彼を見て「大丈夫、もうできる」と先ほどとは打って変わって優しく思いやるような言葉を二コラがかける。
彼は「大丈夫、ちょっと待ってくれ」と言って二コラの存在を避けるために窓のほうへ行って外を見る。

彼は二コラの存在に不安を感じたから彼女から離れた。
自分はこの女に何かマインドコントロールをかけられているのかと思えたからだ。
二コラの存在と物理的距離を取ったことで彼の理性は孤独でありながら彼自身のものである現存在にドッキングしたと思えた。
零人は宗教的情熱へと向かうマインドコントロールを逃れる術を体得していたのである。純粋理性を取り返した零人が二コラの元へ行き「ちょっと疲れただけだ、先を続けてください」と言う。
二コラがにやりとしてプログラムを続ける。
こうして続いて1セッションが終了すると次へとステップアップする。

ステップアップするとき二コラの存在から柑橘系の幻臭を感じる零人はこれは一種の報酬なのかと思い冷淡に受け止めていた。
しかしステップアップで常習化したので気にしなくなった。後に彼が可奈子と再会したとき可奈子が柑橘系を使っていたのに二コラと重複していたのが彼が可奈子をよい報酬条件を示したことにつながったのかもしれない。

こうして彼はすべてのセッションの終了して特別教育研修プログラムを終わって社長となった。しかし、彼は二コラとは長時間の研修を二人で過ごしたが二コラに恋愛感情を持つことはなく仕事の関係で終わった。


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