翌朝、室人は目が覚めるとキッチンのほうで音がする。
居間を通り過ぎるとアザミはベットにいない。キチンで料理をしているようだ。 エプロン姿のアザミが見えた。アザミが言った。今、朝食作っているからもう少し待っていてね。 室人が料理をよくするのかと聞くと、最近料理をうまくなろうと練習していると言う。室人が洗面所から出てくると、アザミがさあどうぞ用意ができたからテーブルに座ってと言った。
アザミがどう美味しい?と聞く。室人がうん美味しいと言うと、アザミが言った、よかった、アタシは近々に結婚することになっているの。室人は、ああそうと自然に受け流した、他に何か聞く気にはその時にならなかった。 室人はクールになっていた、結婚という言葉を聞いて、自分はまだそんなことは考えたこともなかったが、アザミの用意した朝食を食べながら、新婚生活と言うのはこんなふうにするのかなと思った。目玉焼きとハムエッグ、ミニオムレツ、プチトマト、オレンジジュース、冷たいミルク。
その時、大学で昨日から終夜インキュベーションの実験中であることを思い出した。 アザミがコーヒー用意するからと言ったが、ゴメン今日大学に朝出なければならない用事があった、またいつか、話そう、そうそうこれが携帯番号と言って書くとアザミも自分の名刺を渡した。室人は何か言わなければならないという気持ちになり、結婚するってよかったねと言った。
しかし、渡された名刺をじっと見ながら、もう、僕らはもう会わないほうがいいとアザミに言った。その時の室人は自分がしている事と言って事の矛盾はどうでもよかったが、アザミは彼の言葉にうなずいたが暗い表情がよぎったのを見ることなく部屋を去った。
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