外に出ると街はハロウイン祭りの仮装した人々でごったがえしていた。 可奈子が先に帰ったと窓口の人は言っていたが、彼女が何も言わずに帰ってしまったとは思えない。とりあえず彼女の家に電話することにした。しばらく行ったところに公衆電話があった。 室人が電話すると留守のようで誰も出なかった。どうしよう、彼女はどこにいるのか、ひょっとして犯罪に巻き込まれているのではないか。もう一度あの鏡部屋の建物に行って窓口の人に詳しく聞いてみる必要がある。 室人がサナエらにあの建物にもう一度行ってみようと言った。 そして、3人が向かおうとした時、抽選会をやっている会場のテーブルに置かれた数台のプリンターから送信ファックスが次々と紙を印刷始めた。そこには、次のように印字されていた。
ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜 ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜 ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜 ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜 ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜 ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜ニヒル言うぞ〜 ニヒル言うぞ〜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
会場の人が「誰だ、悪戯だ、ファックスにこんな悪戯を送ってくる奴は!!」と叫んだ。
室人らは気味がわるくなったが建物まで行ってみると、さきほどの鏡部屋の建物の入口には閉館という札が掛っておりドアは閉まっていた。 室人は彼女は人さらいに誘拐でもされたのかもしれないと思った、早く警察に行って彼女を捜してもらわなければ。 室人が警察に行くと言うとサナエが冷静にその前にもう一度家に電話をしてはどうと言った。 室人もそれもそうだと言い、公衆電話の所まで行きもう一度電話した。 すると今度は電話はすぐにつながり可奈子の母親が出た。母親は外出していたようで可奈子も家にいると話した。母親の話では彼女はハロウインに来ていたが気分が悪くなり途中で帰ってきたという話だった。
室人が彼女と少し話がしたいと言うと電話の向こうで母親と可奈子が何か話していたが、突然に彼女が電話に出ると、何も言わずに帰ってゴメンナサイ、気分が悪くなってしまって、と言った。室人が、ああ、良かった家にいて、心配していたんだ、と言った。 彼女はそれに応えなかった。室人が「明後日には会えるよね、」と次のデートの念を押すように聞くと、彼女はしばらく黙っていたが、「たぶん、、、、たぶん、、、行けると思うわ」と、その声は泣いているようにも聞こえた。
彼が彼女のその声を聞いて受話器を下して空を見ると星の見えない暗雲の夜だった。
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