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作品名:反復の時 作者:くーろん

第55回   ハロウインの夜に怪しく揺れるペルソナ
室人は映画を見た帰りに可奈子に次のデートに誘った。
室人は彼女と二人だけで会いたかった。そこで彼女もピアノをやっているので気に入ると思い、クラッシック音楽コンサートに誘った。
ところが、可奈子は二人で会うだけより友達も一緒に行きたいと思ったので、ハロウインの仮装祭りに友達も誘って行きたいと言った。

可奈子は二人だけで会うより、他の同年代の友達がいる中での室人と会いたいと思ったのでハロウインに行きたいと言った。
室人はハロウインの仮装祭りには行きたくなかったし、他の友達はじゃまにさえ思えたので二人だけでのコンサートに行くように彼女に迫った。
しかし、可奈子がどうしてもハロウインに皆で行きたいと言うので、妥協して金曜にハロウインに行って日曜にコンサートに二人で行くということで合意した。

室人はハロウインにはあまり行きたくなかったし、何か憂鬱な気分になりそうになったが、日曜には二人だけでコンサートに行けると思うと気分が明るくなった。

こうしてハロウインの日は来た。

室人がハロウイン祭りがおこなわれている通りの待ち合わせ場所に行くと可奈子とサナエと他に二人の女子が来ていた。4人はコスプレをしていた。
なんだ、男子はいないのか、女子だけかと室人は思った。どうやら、可奈子が自分の親しい女友達に室人を見せたいという気持ちもあるようで女友達を誘ったようだ。
サナエと他の二人はミツバチのコスプレの帽子でドレスだった。
可奈子はピッケルハウゼみたいな帽子を被ってワルキューレ風のドリアンドレスだった。
室人は4人がハロウインに合わせてコスプレで来たのは少し意外に思えたが、街は派手な
仮装の人であふれていたから4人は目立たなかった。

街は解放されたような明るい雰囲気に包まれているように見えた。しかし、その解放感が人工的でペルソナであることを室人は見破った。
サナエは室人に会えて喜ん明るく振る舞った。そんなサナエを見れば、室人に気があるので可奈子に対抗しているように見えたかもしれない。室人もそんな彼女を見て最初は自分に気があるのかなと思ったりした。しかし、彼女の目を見てそうではないことがわかった。サナエはまるで室人を好きなようにはしゃいで見せたが、それはペルソナだった。
サナエの目はどこか遠くを見ており、遠くに好きな人がいて片思いのように見えた。

仮装やコスプレの裏に隠れ見え隠れする怪しいペルソナを室人は感じると何か不吉な予感が脳裏を一瞬横切った。しかし、コスプレや仮装と言う外見の派手さにとらわれると彼の意識からペルソナは遠のいて行った。

街の広場に祭りのようにメリーゴーランドなどとともに蝋人形館や見世物館も特設されていた。その中に鏡部屋の家という建物があった。

その家のドアには暗黒を覗いたような仮面が掛けられていた。


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