20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:反復の時 作者:くーろん

第32回   32
パレードからもどると謝恩会が開かれた。可奈子はピアノをひいた。謝恩会ではショートコントの出し物をしたりした。

最後は肩を組みながら定番の卒業式の歌を皆で歌った。

謝恩会が終わっても外で教師や生徒やその親が外で大勢で話している。

室人を見つけて加山サナエが来て、クラスの皆で今度ローラースケートリンクに行くことになったから行かないかと室人に声をかけてきた。

高校入学まで別に何もすることがないが、皆で遊びに行こうということらしい。サナエが発起人のようだ、しかしなぜローラースケートなのかと室人は思った。

サナエは白鳥可奈子がローラースケートが得意で好きだと言うことを以前に聞いていた。サナエは可奈子をローラースケートに引っ張り出して、さらに他の男子や女子にも声をかけていた。サナエには可奈子や男子に対する複雑な思いがあった。サナエは川名アザミも誘っていた。室人はサナエから可奈子も来るという話を聞き一瞬無口になった。

入試の合格発表日以来、可奈子とはほとんど顔を合わすことは無かった。さきほどの卒業式で檀上の可奈子を繁々と見たのは久しぶりであった。鼓笛隊の練習や課外活動ではアザミと話をすることが多かった。アザミとは謝恩会の出し物も同じ班になっていたのでふざけあったりしてそれなりに楽しくやっていた。可奈子は別の班になったので室人との接点はなかった。

しかし、心の中はもの悲しい。可奈子のせいだと言うことはわかっていたが、室人は可奈子を避けていた。そして、今日はアザミのバトンガールもたくさん見れたし、それでも早く忘れたいという気持ちの中で悲しみは続いていた。

可奈子が来る所に行くべきか行かざるべきか悩んだ。
室人が可奈子が来るということを聞いて表情が変わったのをサナエは目敏く見抜いた。サナエや、やはりそうなの、と心の中でつぶやいた。

サナエには可奈子を取り巻く男子の思いを知る必要があった。サナエは室人に来るように強く誘った。室人はサナエがこんなに誘うから仕方がないと自分に言い聞かせて参加すると言った。

サナエが嬉しそうな顔をした。そして、何と学校をよく休んでいたが、卒業式にはやって来た早川零人まで誘って来ることになったと室人に言うと向こうへ行ってしまった。室人は零人が卒業式に来たのは知らなかった。おそらく遅れてきていたのだろう。卒業証書を受け取る時には零人はいなかったはずだ。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 17254