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作品名:反復の時 作者:くーろん

第20回   20
あの事件が起きて以来、零人、可奈子、室人には以前と異なる三人三様の変化が起きた。

まず、零人はほとんど学校に来ることがなくなった。

それから、可奈子は生活指導の女教師から注意と指導を受けた。もし、可奈子があそこで服でも脱いでいたら、学内だけでの生徒のケンカでは済まない問題に発展していたと思うと教師も安堵した。しかし、教師たちの可奈子に対する見方はこれまでとは変わってきた。あの女子は色気づいてしまったので本校の模範的な中学3年女子生徒は失格だろうというのが大方の教師の見方だった。

そして、彼女の同級生の態度も変わった。

ある日、可奈子が席に座っていると、3人の女子生徒が来て彼女の机を取り囲むように立った。
一人が「白鳥さんはいいわね、、」と嫌味な視線で言った。
もう一人が「彼のためにあんなことができるなんて、、、」と言った。
そのような女子のチクチク刺すような言葉がしばらく可奈子に投げかけられ続けたが、可奈子は何も言わず、無表情で座っていた。

「そんなんじゃない、、そんなんじゃない、、、」と自分自身で何度も言い聞かせるように心で言っていたのだが、じわっと涙が出てくる。これまで言い争いでも一度も泣いたことのない気が強い可奈子であったが、なぜからしら、この時はとめどなく涙があふれてくる。
可奈子の目にたまった大粒の涙が限界を超えてポロリと流れ落ちた。それを見た女子らは「あら、あたしたち何か悲しい話でもしたかしら、、」と白々しいどこ吹く風の顔で言うと可奈子から離れて行った。
可奈子の仲良しだった友達も可奈子を避けるようになった。

こうして、可奈子は独り同級生から孤立していった。


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