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作品名:反復の時 作者:くーろん

第18回   廊下でケンカ
室人は彼の意識の中で零人と可奈子がカップルになっているというイメージの階層分離させることに失敗した。そして拭い去ることができない妄想でも抱え込んだようになっていたが、この状態を変えるためには何らかのアクションが必要であるということもわかっていた。そして、彼の思いは現実のものとなった。

一週間ぐらいしたある日の休み時間だった。偶然に廊下で室人が零人に会ったときだった。
室人は零人に切り出した「このまえ、、、下校のとき、、白鳥さんと一緒にいただろう」。
零人が言った「それがどうした」。
室人「白鳥さんとはできているんだろう」。
零人「僕は今何も言いたくないが、彼女と一緒に帰っただけだ、もういいだろう」と室人のほうをチラリとみて小ばかにするように言った。
室人は真っ赤になって叫んだ「僕の言うことを何でまじめに取り合おうとしないのだ」。
零人は嘲笑しながらその場を去ろうとした。室人は激怒して零人に殴りかかっていった。

二人は廊下で取っ組み合いのケンカを始めた。しばらくすると、ケンカを見に集まってきた生徒の中から別の男子4人が「谷田貝、オレたちもこいつには常日頃むかついていたんだ」と言って零人を組み伏せて零人を殴ろうとした。室人は突然にケンカに参入してきたその4人に自分の立場を取られて、廊下に座り込んで唖然とした。

廊下が騒々しいので可奈子は何だろうと思って教室を出た。そこではケンカをしているようで可奈子の目に零人と男子4人と室人が飛び込んできた。
4人が囲んで零人を殴っていた。4対1では力の差は歴然としており、零人は鼻血を流して殴られていた。転校生にはよくあることで、日頃から最近来た生意気な奴だと男子からは思われていたようである。それが、何かのキッカケで爆発したということだ。

周りには他の男子や女子もいたが、誰も止めようとはしていなかった。
それを見た可奈子は男子の前に行くと「あんたたち、4人もいて卑怯じゃない、止めてよ」と叫んだ。
一斉に4人が殴る手を下ろして可奈子の方をじっと見た。

その時、一人のボス格の男子が可奈子に向かって言った「白鳥、おまえ、止めてほしいなら、ここで服を脱いで素っ裸になってみろよ」。

可奈子は返す言葉がなく一瞬たじろいだ。

室人が「白鳥は関係ないだろう、、でしゃばるな」と叫んだ。室人は可奈子に好意を寄せていたので可奈子をこの騒動に巻き込みたくなかった。
女子のほうからも「可奈子に何ていうことを言うの、もういい加減にしてよ」と言う声が上がった。
零人は「余計なことを言い出して、オレがボコボコにされていれば済んだことを、、、」と切れた唇と鼻を押さえながら内心思った。

しかし、可奈子はそのような声を聞かず、そのボス格の男子のほうを下目使いの目線で見るや「わかったわ、、、」と小さな声で言った。

可奈子が制服の最初のボタンに手をかけた。

その時、廊下の向こうから「お前たち、何をやっているんだ」と言う怒鳴り声がして担任の男性教師がやって来た。

「早川すごい出血だな、、誰か、早川を保健室に連れて行って手当てをしろ」と大声で言った。


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