「ふぅ〜さっぱりした〜」 頭を拭きながらゆっくりとドアを閉め、いつもの癖のようにテレビのリモコンに手を伸ばす。 「う・・・今日のお笑い番組つまんない芸人ばっかりだな…」 テレビのスイッチを消しベットに横になる。 なぜか今日の帰りのことばかりが頭の中にあった。 「やっぱ・・・ちゃんとお礼したほうがいいよな・・・」 何度も何度もそう思った。だが・・・ 「俺あの人のこと何にも知らないじゃん。」 何も知らないものは見つけようがない。 「まぁ今悔やんでも仕方ないよなぁ・・・・」 無理に開き直る。 だが心のどこかに引っかかるものがあった。 「明日卓にでも聞いてみようかな」 急に思いついた方法にしては上出来だった。 卓はへんにいろんなところに情報網があるのは昔っから知ってる。 うまくいけば見つけられるかもしれない。 そうだ・・・そうしよう・・・そう思いながら深い眠りについたのであった。
お昼のチャイムが学校中に響く。 「要するに手帳を拾ってもらったからちゃんとお礼がしたいってことだな??」 卓が総合的にまとめていってきた。 「まぁ・・・簡単に言うとそうだな」 するとなぜか卓がため息をつく。 「まーあれだ、なんでお前そっけないお礼なんてしたかなぁ〜〜俺だったら速攻でメアド交換まで持ってくのに〜」 その言葉に対してのつっこみを考えるのは2秒もかからなかった。 「お前とは違うんだよ!!」 また卓がため息をつく。 「とりあえずまぁ・・・・その人の特徴は??」 記憶の引き出しを詮索した。 「え〜っとね・・・身長が僕より少し小さくて・・髪が肩くらいまでのひと!」 自分の持っている情報をすべて伝えたつもりだった。 「お前・・・・・この学校だけでも何人いると思ってるんだ・・・・」 今度は僕がため息をつく。 「やっぱみつけるのむりかなぁ・・・」 卓が付け足したように言う。 「すくなくともその情報だけじゃな〜」 がっくりと肩を落とす。 そんな肩を落としている僕をよそに卓がおなかをさすっている。 「とりあえず飯行こうよ〜〜はらへったよ〜」 まったくこいつは・・・と心の中で思った。 「はいはい・・で大将、食堂とパンどちらにするつもりですか?」 実は今月はお金がピンチで食堂などと言われると困った。 「う〜〜んじゃぁ今日は食堂で!!!」 何も言い返す気にはなれなかった。 さすが卓だな・・・まったく・・
食堂に入るととても食欲をそそるにおいがしてきた。 まわりはカレーやらそばやら食べている。まったくうらやましい・・・・ 「今日はお前何するの??」 卓が聞いてきた。 「素うどんにするつもりだけど」 すると卓が大げさに驚いた。 「うわぁ・・学食の中でも一番お買い得プライスレス商品かよ・・・・」 心の中でため息をついた。 「わるかったな・・・じゃぁお前は何にするんだよ?」 卓が腰に手を当てて胸をはって言う。 「スープ・ウィズ・ウドォンヌ!」 スープウィズウドン?つまり・・・・・ 「んじゃぁ素うどん二つ買ってくるから席取っといてくれ〜ぃ」 「・・・・・・・・・・・・」
うどんでほてった体をあおぎながら食堂を出る。 「ちょっと調子のって唐辛子入れすぎたな・・・・」 「ほんとだよまったく・・・」 二人して笑いあう。 卓が思い出したように言った。 「そういえば例の女の人の特徴ほかにないの?」 ふたたび記憶の引き出しを探ってみた。 「ジャージ姿だったことしか…」 卓が肩を落とした。 「まぁ・・・とりあえずなんかの部活に入ってるってことだな。」 僕は苦笑いをした。 ふと視線を卓から前に移した時だった。 階段を上っている見覚えのある人影。 なにか重そうなものを持っている・・・ダンボールか?? そうきずいたときには走り出していた。 「おい!どうしたんだよ?!」 背後に卓のこえが聞こえる。 「あ・・・あの!!!」 「あれ?きみ・・・」
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