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作品名:まっすぐな君へ。 作者:大倉進

最終回   2
時々話しかけてくる、クラスの人気者。
もっと素直に話せればいいんだけれど、それはなかなかできない。

ずっと前から知っていたけど、声をかけたことはなかった。

いつもどこに行っても君は、
男子からも女子からも、ひっぱりだこ。

特別勉強ができるわけじゃないけれど、
そのひたむきな姿勢が、みんなをひきつけるんだろう。


教室の中にいるけれど存在感の薄い私からしたら、
誰からも必要とされているってすごいと思うよ。

文化祭のときにクラスで旗を作ることにしたとき、
私のやり方では反感を買ってみんなが動いてくれなかった。

そこで、君は言ったね。
「僕がやるよ。君はあの子を手伝って。
 あの子一人じゃ絶対布をまっすぐにできないからね」

君の一言で、場が変わった。

一瞬でまとまりのない計画をまとめ上げて、
さらには新しく作り直してしまった。

旗の絵も、最初に描いた物がさらっと直してあった。
とても自然な線だった。絵がうまいんだね。


受験も近くなってきたし、
最近成績が伸び悩んでいるみたいだから、
今度一緒に勉強しようって、勇気を出して声をかけてみようかな。



君の手をとるから、そのまままっすぐ歩いてみて。
きっと、線は長く続いていくよ。
鉛筆が小さくなっても、定規があればまっすぐな線が引けるでしょ。


素直になれないけれど、変わらない定規の「私」から、
どんな場所でも人気者な鉛筆の「君」へ。










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