時々話しかけてくる、クラスの人気者。 もっと素直に話せればいいんだけれど、それはなかなかできない。
ずっと前から知っていたけど、声をかけたことはなかった。
いつもどこに行っても君は、 男子からも女子からも、ひっぱりだこ。
特別勉強ができるわけじゃないけれど、 そのひたむきな姿勢が、みんなをひきつけるんだろう。
教室の中にいるけれど存在感の薄い私からしたら、 誰からも必要とされているってすごいと思うよ。
文化祭のときにクラスで旗を作ることにしたとき、 私のやり方では反感を買ってみんなが動いてくれなかった。
そこで、君は言ったね。 「僕がやるよ。君はあの子を手伝って。 あの子一人じゃ絶対布をまっすぐにできないからね」
君の一言で、場が変わった。
一瞬でまとまりのない計画をまとめ上げて、 さらには新しく作り直してしまった。
旗の絵も、最初に描いた物がさらっと直してあった。 とても自然な線だった。絵がうまいんだね。
受験も近くなってきたし、 最近成績が伸び悩んでいるみたいだから、 今度一緒に勉強しようって、勇気を出して声をかけてみようかな。
君の手をとるから、そのまままっすぐ歩いてみて。 きっと、線は長く続いていくよ。 鉛筆が小さくなっても、定規があればまっすぐな線が引けるでしょ。
素直になれないけれど、変わらない定規の「私」から、 どんな場所でも人気者な鉛筆の「君」へ。
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