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作品名:まっすぐな君へ。 作者:大倉進

第1回   僕の思うところ。
僕の恋している人は、まっすぐで、融通が聴かないんだ。

かっちりとした制服を着て、ストレートの黒髪は、
「校則が歩いている」と噂される。

今時の子みたいに着飾りもしないし、流行りのことには興味がないみたい。

曲がったことが大嫌いで、僕が「帰り、遊びに行こうよ」って誘っても、
「学校の帰りに寄り道はいけないから」って断られてしまう。

だけど、そんなとき、彼女は決まってこういうんだ。
「日曜だったら…いいよ」と。
冷たさも、相手を気遣う優しさも一律で杓子定規な人なんだ。

必ず8:15には登校して、ミルクコーヒー片手に数学の参考書と朝デート。

何も知らない振りして僕は、教室に入って君に目を合わせないでおはようって呟く。

君の素っ気ないおはように、僕は、影でつまらない努力しちゃってるんだよ。

昼ご飯も、絶対同じ友達と同じ場所で机を並べて、
いつも同じものを食べてる。

神経質すぎるくらい綺麗に切りそろえられたサンドイッチを、
クラスで知らない人はいない。

ねぇ、中のハムもレタスも三角にしてあるんでしょ?って疑うくらいね。

成績も棒グラフにすると素晴しい美しさの横並び。90点台を意味する15cmばかりだ。

デコボコになんてなりやしない。

「下がらないけど、上がりもしないの」というセリフで顔が赤くなっていた。
照れ隠しか、やっぱり恥ずかしいんだ。

でも、凄いなぁ。

僕なんて、受験が近づいているっていうのに、成績は下がる一方だよ。

先生にも親にも怒られて呆れられて、
勉強時間を増やせば増やすほど、
成績は上がらずに伸び悩んで、得意の英語も遂に偏差値50を切った。

だけど、僕は挑戦するよ。

この受験が終わっても、ずっと一緒にいられるといいな。

僕は君には遠く及ばないけど、今と同じように、
同じ教室にいるように、君と同じ場所にいたいんだ。

もう会えなくなっちゃう前に、ちゃんと言うつもりでいるよ。


大学生の筆箱の中に、鉛筆があるのは珍しいのかな?

グラフを書く学部じゃないけど、直線定規と一緒に持ち歩いてね。

小さくなってしまった鉛筆の「僕」から、いつも真っ直ぐな定規の「君」へ。


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