僕の恋している人は、まっすぐで、融通が聴かないんだ。
かっちりとした制服を着て、ストレートの黒髪は、 「校則が歩いている」と噂される。
今時の子みたいに着飾りもしないし、流行りのことには興味がないみたい。
曲がったことが大嫌いで、僕が「帰り、遊びに行こうよ」って誘っても、 「学校の帰りに寄り道はいけないから」って断られてしまう。
だけど、そんなとき、彼女は決まってこういうんだ。 「日曜だったら…いいよ」と。 冷たさも、相手を気遣う優しさも一律で杓子定規な人なんだ。
必ず8:15には登校して、ミルクコーヒー片手に数学の参考書と朝デート。
何も知らない振りして僕は、教室に入って君に目を合わせないでおはようって呟く。
君の素っ気ないおはように、僕は、影でつまらない努力しちゃってるんだよ。
昼ご飯も、絶対同じ友達と同じ場所で机を並べて、 いつも同じものを食べてる。
神経質すぎるくらい綺麗に切りそろえられたサンドイッチを、 クラスで知らない人はいない。
ねぇ、中のハムもレタスも三角にしてあるんでしょ?って疑うくらいね。
成績も棒グラフにすると素晴しい美しさの横並び。90点台を意味する15cmばかりだ。
デコボコになんてなりやしない。
「下がらないけど、上がりもしないの」というセリフで顔が赤くなっていた。 照れ隠しか、やっぱり恥ずかしいんだ。
でも、凄いなぁ。
僕なんて、受験が近づいているっていうのに、成績は下がる一方だよ。
先生にも親にも怒られて呆れられて、 勉強時間を増やせば増やすほど、 成績は上がらずに伸び悩んで、得意の英語も遂に偏差値50を切った。
だけど、僕は挑戦するよ。
この受験が終わっても、ずっと一緒にいられるといいな。
僕は君には遠く及ばないけど、今と同じように、 同じ教室にいるように、君と同じ場所にいたいんだ。
もう会えなくなっちゃう前に、ちゃんと言うつもりでいるよ。
大学生の筆箱の中に、鉛筆があるのは珍しいのかな?
グラフを書く学部じゃないけど、直線定規と一緒に持ち歩いてね。
小さくなってしまった鉛筆の「僕」から、いつも真っ直ぐな定規の「君」へ。
|
|