20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:海に続く夢 作者:まこと凪

第1回   残りの時間
とぎれとぎれに目が覚める。
動けなくなってどれくらいたつのだろう。
呼吸がおかしくなっても、すぐには死ねないものなのか。
ただここに横たわり、狭い部屋の天井をみている。

少し動けるうちに、多少は整理をつけておいてよかった。
派遣の仕事は適当に断った。そもそも不況で依頼もなくなっていたから、
仲間うちにも俺のことは伝わらないはずだ。
死んだということを、伝えるような仲間でもない。
携帯のメモリは、親戚の他は消しておいた。

いつも本当に世話になっていた叔母と従兄弟たちには、最期まで迷惑をかけてしまうだろう。火葬をお願いしたいと、メモは残しておいたが、あれで良かったか。
しなくていいと言っても葬式をしてくれるのだろう。横浜や埼玉の従姉妹たちも、わざわざこちらの田舎まで来てくれることだろう。
みんなの悲しむ顔が想像できる。
なんてことだろう。
過去の出来事がおもい浮かぶ。
死ぬことなど怖くないと思っていたが、みんなに会えなくなるのが残念でしかたない。


次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 261