「やっと本性を現したか!」 バリーはブラウンを睨みながら、口元には笑みを浮かべる。 「俺に、よく気付いたな!」 ブラウンがバリーの言葉に感心した。 「当たり前だ。あの歩き方と、あの殺気には誰でも気付く」 「勘が良いと、時には命取りになる・・・」 ブラウンが再び、殺気をバリーに向ける。 「まぁ、待て」 それをガーツが止めた。彼は銃を下ろし、バリーに近付いた。 「ヘイズから聞いていたが、まさかここまで優秀とはな」 「そりゃ、光栄だね」 バリーが笑う。 「どうだ?俺のコントラクト・エージェントにならんか?」 「コントラクト・エージェント?」 バリーがそう言うと、ガーツはCIA諜報員個人が、現地で直接雇えるのが契約諜報員(コントラクト・エージェント)だと話した。 「このヘイズを、こうも簡単に倒すとは・・・」 その言葉に、ヘイズがガーツのコントラクト・エージェントだと理解した。 「この男が、間抜けなだけだ」 倒れているヘイズを横目に、バリーが笑う。 「どうだ?俺に付けば、世界の全てを見せてやる」 バリーは、ガーツの目を見た。眼光鋭いその目は、数々の修羅場を潜り抜けてきた男の目だった。だが・・・。バリーが口を開いた瞬間、バリケードのドアから、ヌン族の男たちが慌しく騒いだ。見ると、様子を伺っていたデイビスが、見張りに見つかったようだ。両手を挙げたデイビスが、バリーの前に連れてこられる。 「いい所に来たな、デイビス」 ガーツが笑う。バリーの顔に、余裕が無くなっていた。デイビスはケシの花と、この場の様子を見て、何が起こっているか理解しているようだった。デイビスは、バリーの顔を見る。「やばいことになってるな」デイビスの目が訴えていた。 ガーツは、デイビスの頭に銃を突きつける。 「何のマネだ?」 バリーはガーツを睨みつける。 「残念だが、この男に用は無い」 そう言うと、ガーツは何のためらいも無く引き金を引いた。デイビスの頭から血が飛び散り、彼はバリーの目の前で倒れた。ガーツはその銃口をバリーに向ける。 「さあ、返事を聞こう。俺の下に付くか、ここで死ぬか」 バリーは、再び口元に笑みを浮かべる。自分の意思とは無関係に、そのセリフが口を突いて出た。 「俺が、あんたの下に付くんじゃない。あんたが、俺の下に付くんだ」 その言葉に、ガーツの顔が怒りで支配される。 ガーツは、引き金を二回引いた。乾いた音が鳴り響く。バリーは左胸に二発の銃弾を受け、そのまま後ろへ倒れた。 音が遠のいていく。目の前の景色も、全ての音も薄れ始めた。
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