村に入ったNVAの部隊は、何かの態勢を整えているようだった。装備からして、正規軍だ。バリーとクライトマンは、家屋の入り口に張り付き、CAR15を握り、腰のバックからレモン型ハンドグレネード手榴弾M26A1を手にした。気配を殺し、バリーは家屋の壁に同化する。兵士たちが話す声が聞こえる。彼はホアに習っていたベトナム語の単語を、断片的だが聞き取っていた。 焼き払う、村、拠点、攻勢、本隊、合流・・・。 恐らく、虐殺を行ったのは彼らだろう。バリーがそう考えていたとき、向こうの家屋から耳を劈くような女の叫び声が聞こえた。途中で保護した女だ。それを聞いたクライトマンが、そこを出ようとするが、バリーがそれを制止する。彼はゆっくりと首を横に振った。しかし、ここが見つかるのも時間の問題だった。女の声が、泣き声に変わる。クライトマンのシャツを着ている彼女を見て、NVA兵士が我々の存在に気付いたに違いない。ここを出るなら、今のうちだった。バリーはクライトマンに手で「ここを出る」と合図を送る。 クライトマンが小さく頷いた。敵の気配が消えた瞬間、バリーは家屋を出た。女の声の方を見ると、彼女の頭にピストルが突きつけられている。兵士に尋問を受けているようだった。 バリーはクライトマンに「着いて来い」と手で合図を送る。それを見たクライトマンがバリーの後に着く。また女の叫び声が轟いた。クライトマンはその声に、立ち止まり、振り返ってしまう。 女は、NVA兵士にピストルで頭を撃ち抜かれた。それを見たクライトマンは逆上する。 「てめえら、許さねえ!」 彼はCAR15で兵士を撃つ。三人の兵士が倒れる。彼らはそれに気付き、応戦する。 「駄目だ!来い!」 バリーがクライトマンの肩を掴み、強引にその場を離れた。 兵士が後を追う。銃声と共に、その兵士が一人、二人と倒れていく。木の上からホアが援護射撃をしていた。 バリーとクライトマンがジャングルへ入る。ホアもそれを確認すると、二人の後を追った。数人の兵士がそれに続く。 バリーはクライトマンを先に走らせた。ホアが二人に合流する。兵士が追ってきた。バリーたちは、ここに来る途中で仕掛けたクレイモア対人地雷がある方へ逃げた。目印を確認し、それを横切って三人が走る。後を追った兵士が、その地雷にかかり、後方で爆発音が轟いた。それを切り抜けた一人のNVA兵士がAK47を構え、一発の弾丸を発射する。弾丸は、爆音に立ち止まったクライトマンの脇腹に当たった。 それに気付いたバリーが、その兵士を撃ち殺す。 「大丈夫か!?」 バリーがクライトマンの肩を掴むが、彼は片膝をついた。 「何とも無い」 クライトマンは傷を手で押さえる。バリーは彼に肩を貸し、立たせた。 「ホア、後ろは任せた!」 「了解!」 彼らはバンカーを探した。
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