ダニエルと父親のジョナサンを殺し、自分も死ぬ。これしか、手は無かった。あの男が生きている限り、才能あるアンに未来は無い。バリーは何もせず、ただじっと夜を待った。 アンは、自分の部屋で泣き続けていた。彼女の涙は、全く枯れることがなかった。そしてバッグの中に手を入れ、ヘザーの家で手にした睡眠薬を取り出した。 「ヘザー・・・ありがとう・・・」 そう言うと、アンは睡眠薬の瓶にキスをする。アンはベッドから立ち上がると、部屋の外を覗いた。キッチンのテーブルで、バリーが銃を取り出し、弾丸を込めている。アンは、彼を止めるために、部屋の外へ出た。バリーはその音で、急いで銃を隠す。 「どうした?」 バリーがテーブルから立ち上がる。 「さっきの話・・・もう一度、詳しく教えて欲しいの」 バリーの顔から、緊張の糸が解けていった。 「本当か!?」 アンは頷く。 「ホットチョコレート作るから、ちょっと待ってて」 ミルクを温め、チョコレートを入れる。 「本当に・・・いいのか?」 バリーのコップに、アンは数粒の睡眠薬を入れる。スプーンを入れて、かき混ぜた。それをバリーに手渡す。 「私なら、もう大丈夫」 アンは笑みを浮かべた。バリーは何の疑いもなく、ホットチョコレートを飲み干す。アンに話しかけようとしたとき、急激なめまいに襲われた。それを振り払おうと立ち上がるが、バリーは床に倒れた。アンは傍により、そっとバリーの頬を撫でた。 「何を・・・」 バリーはアンの手を掴む。 「大丈夫、ちょっと眠るだけよ」 アンは、悲しそうな微笑を浮かべた。 「これしか、道は無いの」 アンは、そっとバリーに口づけをする。 「私、わかったの・・・愛してたのは、貴方よ・・・」 「駄目だ・・・」 「貴方だけを、見てた・・・」 エメラルドの瞳から、大粒の涙が流れ落ちる。 「行くな・・・」 「あっちで、ヘザーに謝らなくちゃ・・・」 バリーはアンの頭を掴み、自分から彼女を抱き寄せると、口をふさいだ。その唇が離れたとき、アンは何度も涙を流しながら、バリーに囁いた。 「愛してるわ、バリー・・・」 ゆっくりと立ち上がると、アンは浴室へ向かった。バリーはそれを止めることも出来ず、そのまま意識を失ってしまった。
|
|