バリーは、アンジェリアの顔を見ることが出来なかった。 「頭を、冷やしてくる」 そう言うと、部屋を出た。アンは、その場に腰を落とし、声を押し殺して泣いた。バリーは、アパートの屋上へ出た。煙草に手をかけ、一本取り出すが足元に落としてしまう。手の震えが止まらなかった。二人に、重い罪悪感が襲う。
夜が明ける頃、アパートのドアを激しく叩く音で、目が覚めた。バリーはキッチンのテーブルから立ち上がり、ドアを開ける。そこには、ネクタイを締めた数人の男たちが、警察バッジを掲げて立っていた。 「君が、バリー・タウバーだね」 「はい」 「ヘザー・ベル・シェパードについて、少し聞きたいことがあるんだが」 その瞬間、バリーはヘザーが死んだことを悟った。 彼女はマンションの4階から飛び降り、頭蓋底粉砕骨折による脳挫滅で死んだということだった。遺書とも言えるメモが見つかり、彼女がLSDとマリファナを常用していたことからの事故、もしくは自殺と警察は考えている。警察は遺書のメモを袋に包んだ状態でバリーに見せた。 そこには、バリーとアンに向けての謝罪の言葉が、何度も何度も書き連ねている。 ヘザーの字は、震えていた。バリーは、心臓が抉られるような思いだった。
バリーとアンの警察での調書も終わり、二人は警察署から出た。署にはジョージが二人を迎えに来ていた。ジョージはアンを抱きしめると、軽く口づけをする。そしてバリーを見ると、彼の肩を掴んだ。しかし、バリーはジョージの顔を見ることが出来ず、二人と別れた。 その日から、ヘザーの葬儀が終わるまで、バリーはアパートに戻らなかった。 その間ジョージは、アンの傍を離れなかった。彼女の身体を求めることもなく、ただじっと、彼女を見守っていた。
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