アンの手に、睡眠薬が入った瓶が当たった。彼女は何も考えずそれを掴むと、よろめきながら部屋を出た。 「死ねばいいのよ・・・みんな・・・」 ヘザーは力無く呟いた。彼女は、床に手を突いた。手に涙が零れ落ちる。 「そんなこと・・・言うつもりじゃなかったのに・・・」
暗い夜道を、アンは涙を流しながら歩いた。 何が起こったのか、まだ理解出来ていなかった。
「ごめんね、アン・・・許して、バリー・・・」 ヘザーは、涙を流しながら、机の上にあったノートに、何かを書いている。
ドアのノブを回すと、部屋の中に、一切の灯りが灯っていなかった。 誰の気配も感じない。 「アン・・・」 バリーは、急に胸騒ぎを感じた。
窓を開けると、冷ややかな空気が部屋の中に入ってくる。 ヘザーは下を見た。
部屋の外に出て、階段を下りようとしたとき、魂の抜け殻のように呆然と階段を登る女がいた。 「アン!」 アンはバリーの顔を見た。 「どこに行ってたんだ?」 アンの頬が赤くなっている。バリーはその頬に触れた。 「何があった?」 アンの目に、涙が浮かび上がる。 「ヘザーが・・・」 「ヘザーに、何かされたのか?」 アンは目を逸らした。 「あいつは今、まともじゃないんだ」 涙がとめどなく流れる。バリーはアンに顔を近付けた。 「あいつの言葉を、真に受けるな」 アンは目を閉じた。 バリーはそっと、彼女に吸い寄せられるように、その唇をふさいだ。
足が、窓から離れる。 夜の風が気持ちよかった。
部屋の中に入ると、互いの鼓動が聞こえるようだった。 その肌に触れたかった。
頭の中で、強い衝撃があった。 音という音が消え、何も聞こえなくなっていく。
白い肌に、温もりを感じた。 破裂しそうなくらいに、互いの鼓動が早くなっていく。
寒い。 目の前が、暗くなってきた。
熱い。 身体が燃えそうなくらい、熱い。
___________________そして、一本の糸が切れた。
その音に、二人の身体が反応した。 見ると、決して倒れるはずのない椅子が倒れている。 二人は、我に返った。 バリーは視線を落とし、アンの身体から離れた。 「すまなかった・・・」 アンは、はだけた服を手で隠した。
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