そう言うとバリーがジョージの肩を掴んだ。 「父さんは、お前の話ばかりしてた。お前が妬ましく思ったこともあったよ」 ジョージは、自分が愛されていないかもしれないと思っていた。バリーはその気持ちを察し、スピラーン神父の死の直前に言った言葉を、ジョージに伝えた。 「最期の最期で、スピラーン神父は“ジョージを頼む”と言ったんだ」 ジョージはバリーの顔を見る。 「俺には、何も無いんだ」 そう言って、バリーが微笑んだ。 「お前は、俺が欲しいものを全部持ってる」 「バリー・・・」 「妬んでいたのは、俺の方だ」 ジョージが笑みを浮かべ、バリーの背中を叩いた。二人はそれ以上、何も言わなかった。
腰からぶら下げた数十本の鍵が金属音を立てながら、警官が地下にある留置場に降りてきた。 「ジョージ・スピラーンとバリー・タウバー、出ろ」 二人は腰を上げ、その警官の後に着いた。 「お迎えだ」 警官が無愛想に言った。 一階に上がると、ヘザーとアンジェリアが立っている。ヘザーが父親に頼み、二人を引き取る許可を取っていた。 「もう、心配したのよ!」 ヘザーがバリーに抱きついた。 「パパに言って、大学にも残れるようにしたんだから!」 バリーがヘザーに口づけをする。 「ありがとう、感謝してるよ」 そう言うとバリーはアンジェリアの頭を撫で、心配かけたと言葉をかけると、足早に警察を出ようとした。 「どこ行くのよ!?」 ヘザーが叫ぶ。バリーはアルバイトに間に合うから、今から出勤すると言い、その場を後にした。その姿にヘザーは憤怒する。ジョージとアンは彼女をなだめながら、帰路についた。
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