翌日は土曜日で、講義は無かった。ジョージはフットボールチームの練習が昼過ぎまであり、夕方に会う約束をしていた。バリーはそれまでアルバイトに赴く。 ヘザーはアンの化粧とヘアメイクをする為、アパートで準備をしていた。待ち合わせ場所は大学の正門前。 バリーはアルバイトを終えると、アパートに走って戻ってきた。ヘザーが出迎えると、バリーに目を閉じるように言った。 「いいわよ」とヘザーが言う。目を開けると、目の前には美しく着飾ったアンジェリアが立っていた。バリーは呆然とする。 「綺麗だ」 だが、アンの顔は冴えなかった。 「どうした?」 「私なんかが・・・ジョージに会ってもいいの?」 バリーはアンの頭を撫でながら、それに応えた。 「ジョージは、お前と会うのを楽しみにしてるんだ。大丈夫さ」 バリーが微笑むと、隣に立っていたヘザーがアンの肩を叩きながら彼女を励ました。 「何言ってるの!あなた以上に美しい子は、大学にはいないわ!」 アンは微笑んだ。
大学の前で、ジョージが待っていた。そこへヘザーのマスタングが停まり、バリーがアンをエスコートした。ジョージは満面の笑みを浮かべると、嬉しさのあまりアンを抱き上げた。 「本当に、あのアンジェリアなのか!?」 予想以上に美しく成長したアンに、はしゃぐジョージ。二人の姿を見つめながら、バリーはまた、あのときと同じような「奇妙な孤独」を感じていた。 「あなたの“天使”も成長していくのね・・・」 ヘザーが後ろから囁いた。 「ヘザー、ありがとう。俺が渡したドレス代より、足りなかった分は払うよ」 「いいのよ。私が、そうしたかったんだから」 ヘザーはバリーの手を握る。 「そのかわり・・・」 彼女は小悪魔のような微笑を浮かべた。 「一緒に、食事に行ってくれる?」 バリーは彼女の手を握り返すと「いいよ」と応えた。
アンが振り返ると、バリーとヘザーが手を繋ぎ、二人は軽い口づけを交わしている。それを見たアンは、言いようの無い寂しさを感じていた。その日から、ジョージはバリーのアパートに頻繁に出入りするようになり、バリーは時折、身体からバラの香りを漂わせるようになっていった。
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