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作品名:サイレンス 作者:ぴきにん

第48回   48
仕事が終わりアパートへ戻ると、髪を後ろに結い上げたアンジェリアは、楽しげに鼻歌を歌っている。
「ごきげんだな」
バリーが声をかける。アンは笑顔で彼を出迎えた。
「今日は、どうだった?」
楽しそうな笑顔を浮かべているアンに、問いかけた。
「楽しかったわ!」
アンはドレスをヘザーに選んでもらい、ヘアサロンで生まれて初めてパーマをかけた。その後、カフェテラスで初めてのコーヒーと甘いケーキを食べ、女の子の遊びをしたと喜んでいた。
「ヘザーって、とってもいい人よ!頭が良くて綺麗だし、いろんな事知ってるの!それに、とてもいいバラの匂いがしてたわ!」
バリーは飛び跳ねて喜ぶアンの姿を見守っている。
「私のこと、親友だって言ってくれたわ!」
「よかったな」
「ねぇ、あなたはヘザーの事、どう思ってるの?」
唐突に、バリーの顔を覗き込みながら、アンが聞いてきた。バリーは左上を見ながら、思い出すように応えた。
「そうだな・・・。彼女は、とても頭がいいし・・・綺麗だ。いい友達だよ」
「それだけ?」
「それだけだ」
アンの顔から何処かに吸い込まれるように、笑顔が消えていく。
「何か不満なのか?」
首を振るアン。
「何でもない」
「何が不満なんだ?言ってみろ」
そう言うと、バリーはアンを捕まえようとする。アンは狭いアパートを逃げ回った。
「何でもないんだってば!」
バリーの足に敵うはずが無く、呆気なく捕まってしまう。
「言わなきゃ、“笑い死にの刑”だ!」
まだくすぐられていないが、アンは大声で笑っている。
「分かった!言うわ!」
「ちゃんと言わなきゃ、“笑い死にの刑”だぞ!」
バリーは腕を組んで、アンの言葉を待った。彼女は下を向いたまま、恥ずかしそうに応える。
「ヘザーとバリーって・・・お似合いだなと思ったの・・・」
バリーは、その言葉に少し戸惑った。
「・・・そうか」
ヘザーはアンにとって、最初の女友達だ。
「わかった。考えてみるよ」


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