仕事が終わりアパートへ戻ると、髪を後ろに結い上げたアンジェリアは、楽しげに鼻歌を歌っている。 「ごきげんだな」 バリーが声をかける。アンは笑顔で彼を出迎えた。 「今日は、どうだった?」 楽しそうな笑顔を浮かべているアンに、問いかけた。 「楽しかったわ!」 アンはドレスをヘザーに選んでもらい、ヘアサロンで生まれて初めてパーマをかけた。その後、カフェテラスで初めてのコーヒーと甘いケーキを食べ、女の子の遊びをしたと喜んでいた。 「ヘザーって、とってもいい人よ!頭が良くて綺麗だし、いろんな事知ってるの!それに、とてもいいバラの匂いがしてたわ!」 バリーは飛び跳ねて喜ぶアンの姿を見守っている。 「私のこと、親友だって言ってくれたわ!」 「よかったな」 「ねぇ、あなたはヘザーの事、どう思ってるの?」 唐突に、バリーの顔を覗き込みながら、アンが聞いてきた。バリーは左上を見ながら、思い出すように応えた。 「そうだな・・・。彼女は、とても頭がいいし・・・綺麗だ。いい友達だよ」 「それだけ?」 「それだけだ」 アンの顔から何処かに吸い込まれるように、笑顔が消えていく。 「何か不満なのか?」 首を振るアン。 「何でもない」 「何が不満なんだ?言ってみろ」 そう言うと、バリーはアンを捕まえようとする。アンは狭いアパートを逃げ回った。 「何でもないんだってば!」 バリーの足に敵うはずが無く、呆気なく捕まってしまう。 「言わなきゃ、“笑い死にの刑”だ!」 まだくすぐられていないが、アンは大声で笑っている。 「分かった!言うわ!」 「ちゃんと言わなきゃ、“笑い死にの刑”だぞ!」 バリーは腕を組んで、アンの言葉を待った。彼女は下を向いたまま、恥ずかしそうに応える。 「ヘザーとバリーって・・・お似合いだなと思ったの・・・」 バリーは、その言葉に少し戸惑った。 「・・・そうか」 ヘザーはアンにとって、最初の女友達だ。 「わかった。考えてみるよ」
|
|