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作品名:サイレンス 作者:ぴきにん

第44回   44
スピラーン神父が死んだ、あの日のジョージの顔を、未だ忘れられずにいた。
怒り、失望、悲しみの入り混じった表情。その中に見えた、自分に対する侮蔑の表情。
ジョージに会って、あの日のことを謝りたかった筈なのに、何もかも壊れてしまう気がして前に踏み出せずにいた。
そんな事を考えている間に、アルバイトの時間が迫っている。
腕時計を見てため息をつくと、バリーはグラウンドを後にした。

その後ろ姿を、フィールド上のジョージが見ていた。

仕事が終わってアパートに戻り、バリーはアンジェリアに話してみた。ジョージがイェールに来ていたこと、彼に謝りたかったのに、会うのを躊躇ってしまったこと。自分の情けなさに、歯がゆさを感じていること。するとアンジェリアは、バリーに微笑みながら言った。
「大丈夫よ。ジョージはそんな人じゃないわ」
バリーは俯きながら、コクリと頷く。
「でも私も貴方の立場なら、多分迷ってたと思う」
アンは、視線を手にしていたホットチョコレートに落とした。
「だって、あんな酷いことがあったんだもの・・・」
「・・・うん」
バリーも俯いたままだった。
「私にはいないけど、親友って心が通じ合ってるんでしょ?」
アンは、俯いたままのバリーの手を握り締めた。バリーの視線は、アンの瞳で止まる。
「貴方が・・・ちゃんと彼と向き合えば、分かってくれるわ」
アンが優しく微笑んだ。
「・・・そうだな」
バリーは、その微笑を碧の瞳に返していた。
「明日・・・会ってみるよ。ジョージに」


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