バリーは家までの5マイルを歩き始めた。制服のジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩める。既に太陽は真上から西に傾き始めていた。真夏の暑さで、喉が渇く。アンジェリアがダニエルをかばう姿が、腹ただしく思えた。暑さのせいか、怒りがおさまらなかった。 「何であんな奴と!」 バリーは地面を蹴り上げる。小石が混ざった砂が舞い上がった。 「帰ったら問いただしてやる!」 何度も地面を蹴り上げ、その度に砂が舞い上がった。 2マイルほど進んだ頃、空腹を覚えたバリーは、近くのダイナーに入った。遅いランチとコーヒーを頼むと、ほどなくして皿の上に無造作に置かれたマッシュポテトとスクランブルエッグにオニオンリングが運ばれてきた。フォークを掴んで口の中に押し込める。ものの数分で食べ終わると、先ほどまで感じていた怒りがおさまりはじめた。コーヒーを飲み始めたとき、カウンターに座っていたバリーに気付いたダイナーのマスターが近寄ってきた。 「お前さん、もしかしてタウバー検事の息子さんかい?」 小さく頷くと、マスターは気分を良くしたのか、コーヒーを飲み終えたカップにお替りを注ぐ。マスターはバリーを立派になったを褒め称えた。 「君の妹さんもよかったねえ。検事秘書のダニエル・フロストと結婚するんだって?あんな秀才と結婚できるなんて、よかったじゃないか!」 バリーはその言葉に怒りを覚え、カウンターに何も言わずお金を叩きつけると、足早に店を出た。 「何がいいんだ!」 バリーは歩を進める。さっきのマスターの言葉で、怒りが再燃した。 「あんなに美しいんだ。ダニエルみたいな腐った野郎なんかより、いい男が寄ってくるに決まってる・・・」 そう呟いたとき、バリーの脳裏にジョージの顔が浮かぶ。その歩が止まり、右を見た。そこは十字路。この道を右へ行くと、スピラーン神父がいた教会に辿り着くはずだった。 「きっと・・・大丈夫さ・・・」 バリーは右へ曲がった。以前はスピラーン神父の教会を思い出すだけで、嘔吐するほどだったが、もう7年が過ぎたのだ。時間が解決してくれている。そう思っていた。
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