何故、俺を助けたんだ?」 サイレンが鳴り響く中、駆け込んだ装甲車の中で、クラッキオーロが言った。 「お前の無実を知る者は、俺しかいない」 「・・・だから、俺を助けたのか?」 クラッキオーロの問いに、バリーが頷いた。 「お前の素性を、全て調べた。1952年スコットランド出身。オックスフォードを卒業して、イギリス陸軍へ入隊。僅か2年でSASへ入り、”最強”と呼ばれるようになる」 バリーは、クラッキオーロの過去を続けた。彼の趣味から、愛用の拳銃まで。 「イギリス人のクセに、ウィントン・マルサリスが好きとはな!若手のマルサリスもイイが、やはりトランペットは、マイルスだろう!」 その言葉に、クラッキオーロはバリーを睨みつけた。 「俺は、スコットランド人だ!」 「それだ!そういう、お前が気に入ったんだ、サム!」 怒鳴るクラッキオーロを意にも介さず、バリーは笑みを浮かべた。その人懐っこい笑顔に、彼は調子を崩した。 「義理堅く、誇り高い。そういうお前が、気に入ったんだ」 バリーは、クラッキオーロを見上げる。満面の笑顔を、浮かべたまま。 「お前の名誉を回復させるまで、俺の仕事を手伝って欲しいんだ。だから、助けた」 「憲兵達を殺さなかったのは、その為か・・・!」 バリーが頷いた。 「彼らを殺しては、お前の無実を証明出来なくなる。未来永劫な」 クラッキオーロは、戸惑っていた。 自分が何故、このような窮地に陥ったのか。未だに理解出来ずにいた。 だが、一つだけ分かっていることは、自分はハメられたという事。 目の前にいる男が、”真実”を知っている。 「アンタ、本当にタダのビジネスマンなのか・・・?」 クラッキオーロは、眉間にしわを寄せたまま小さく呟いた。 「俺が何者なのか、これから全て話してやる。だから、俺の所へ来い」 バリーは、彼に握手を求めた。 戸惑いはしたが、道は一つしかない。そう思い、クラッキオーロは握手に応えた。
|
|