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作品名:サイレンス 作者:ぴきにん

第272回   272
何故、俺を助けたんだ?」
サイレンが鳴り響く中、駆け込んだ装甲車の中で、クラッキオーロが言った。
「お前の無実を知る者は、俺しかいない」
「・・・だから、俺を助けたのか?」
クラッキオーロの問いに、バリーが頷いた。
「お前の素性を、全て調べた。1952年スコットランド出身。オックスフォードを卒業して、イギリス陸軍へ入隊。僅か2年でSASへ入り、”最強”と呼ばれるようになる」
バリーは、クラッキオーロの過去を続けた。彼の趣味から、愛用の拳銃まで。
「イギリス人のクセに、ウィントン・マルサリスが好きとはな!若手のマルサリスもイイが、やはりトランペットは、マイルスだろう!」
その言葉に、クラッキオーロはバリーを睨みつけた。
「俺は、スコットランド人だ!」
「それだ!そういう、お前が気に入ったんだ、サム!」
怒鳴るクラッキオーロを意にも介さず、バリーは笑みを浮かべた。その人懐っこい笑顔に、彼は調子を崩した。
「義理堅く、誇り高い。そういうお前が、気に入ったんだ」
バリーは、クラッキオーロを見上げる。満面の笑顔を、浮かべたまま。
「お前の名誉を回復させるまで、俺の仕事を手伝って欲しいんだ。だから、助けた」
「憲兵達を殺さなかったのは、その為か・・・!」
バリーが頷いた。
「彼らを殺しては、お前の無実を証明出来なくなる。未来永劫な」
クラッキオーロは、戸惑っていた。
自分が何故、このような窮地に陥ったのか。未だに理解出来ずにいた。
だが、一つだけ分かっていることは、自分はハメられたという事。
目の前にいる男が、”真実”を知っている。
「アンタ、本当にタダのビジネスマンなのか・・・?」
クラッキオーロは、眉間にしわを寄せたまま小さく呟いた。
「俺が何者なのか、これから全て話してやる。だから、俺の所へ来い」
バリーは、彼に握手を求めた。
戸惑いはしたが、道は一つしかない。そう思い、クラッキオーロは握手に応えた。


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