外に出ていた憲兵達は、銃を構え、臨戦態勢に入った。そこへ、暗闇から何かが発射され、白煙を出しながら彼らの前に落ちる。 「クソ、催涙弾だ!」 憲兵達は涙と激しい咳を出しながらも、索敵を怠らなかった。銃を構え、催涙弾の白煙の中、彼らは敵の気配を感じ取ろうとする。その中で一人の憲兵が、目の前に立ちはだかる男を見た。 男はガスマスクを被っており、憲兵を見下ろした。憲兵は咄嗟に引き金を引こうとしたが、見事に弾き飛ばされた。 ガスマスクの男は、憲兵に何かを突きつける。憲兵は痙攣をしながら倒れた。 ガスマスクの男が周りを見る。もう一人のガスマスクの男と、黒のライダースーツを着たガスマスクの女が同じように、残りの憲兵を倒していた。 三人が護送車に近寄ろうとしたとき、運転席と助手席から出た二人の憲兵が、彼らに銃口を向ける。 「しまった!」 ガスマスクの男が叫んだ瞬間、二発の銃声と共に二人の憲兵が倒れた。 「助かった、ホア!」 ガスマスクの男が、無線を通して言った。 「どういたしましてだ。デイビッド!」 狭い石畳の道路の向かい側に、教会の時計塔が建っている。その屋上で、ホアがライフルを伏せ撃ちしていた。 「いい腕だ!」 ホアの隣で、暗視双眼鏡を覗き、同じ体勢でサポートに回っていたマッカビーが言った。その声に、ホアが自慢げに親指を突き上げる。
「急ぐぞ!」 クルーエルの向かいにいたガスマスクの男・バリーが無線を通して言った。クルーエル、黒いライダースーツの女・ルパスが護送車の後部へ周った。
後部の扉が開き、開けた途端に、中からもう一人の憲兵が銃を向けようとした。だが、バリーが手にしていた”何か”を突きつけると、憲兵は痙攣しながら倒れた。 その倒れた憲兵の向こうに、サミュエル・クラッキオーロが立っている。 「な、何者だ!?」 彼はそう言いながら、近接戦闘の構えを見せた。 バリーはガスマスクを外した。 「あ、アンタは・・・!」 「久しぶりだな、サム!」 バリーは笑みを浮かべた。 「な、何故・・・?」 戸惑うクラッキオーロの手錠を掴み、鍵を挿して外した。 「話は後だ。今は逃げるぞ!」 そう言うと、バリーは外へ出る。クラッキオーロは、倒れた憲兵達を見た。彼らに外傷は無く、皆生きているようだった。 「みんな、生きているぞ!」 バリーはそう言うと、手にしていた”何か”を彼に見せた。 「何だ、それは?」 「”スタンガン”さ。20万ボルトの電気ショックで、みんな痙攣しているだけだ」 バリーの前に、別の装甲車が停まった。クルーエルとルパスがそれに乗り込む。 「護送車の憲兵は、ゴム弾で気絶させたがね。多少の怪我はしただろうが、みんな死んでいないさ」 バリーの言葉にも、未だ状況を飲み込めないクラッキオーロだったが、すぐに彼のあとに着いた。
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