「このまま、死を迎えるは運命か・・・」 鋼鉄の護送車の中で、軍の礼服を着たサミュエル・クラッキオーロ大尉は、繋がれた手錠を見ながら、小さく呟いた。
その日、最後の軍法会議の為、深夜にブライズノートン空軍基地から、コルチェスター・ギャリソンにあるイギリス陸軍刑務所・グラスハウスへクラッキオーロ大尉を移送することとなった。 先頭と後尾に、二台の護衛車が就き、大尉を乗せた護送車を護った。
突然、護送車が急ブレーキをかける。 護送車の車内が揺れ、クラッキオーロは顔を上げた。 「何事だ!?」 瞬時に、彼は車外で異変が起きたことを察知する。だが運転席から、何も返答が無かった。
そこは、ひと気の居なくなったオックスフォードシャーの街中だった。石畳の狭い道路で、護送車が停まっている。 先頭にいた護衛車の前に、ドゥカティ900MHRに跨り、黒のライダースーツを着た、一人の女が道を塞いでいた。 「何者だ、そこをどけ!」 先頭車に乗っていた憲兵の男が、車を降りる。銃を構えながら、女に近付いた。女はバイクを降りると、スーツのジッパーを下ろし、豊満な胸の谷間を見せた。 「道に迷ってしまってねえ・・・。ここが何処だかも、分からないのさ」 胸の谷間に視線を取られながらも、憲兵は銃口を女に向けていた。 「そんなことより、すぐに道を開けろ!」 憲兵が、かなきり声を上げる。 「おや、教えてくれないのかい?イイ女が、道に迷ってというのに・・・」 その瞬間、憲兵の視線が胸の谷間に向いた。 女は、それを見逃さなかった。 憲兵が構えていた銃がいつのまにか弾き飛ばされ、彼は宙に投げ飛ばされた。 先頭車からそれを見ていた、もう一人の憲兵が急いで車外へ出る。それに気付いた後尾車からも、二人の憲兵が車外へ飛び出した。 その直後に、激しい轟音が鳴り響き、先頭車と後尾車がミサイル攻撃を受け、二台が大破する。
「何者かに、攻撃を受けた!」 護送車に乗っていた助手席の男が、無線を通して叫んだ。 僅かに、その声を聞き取っていたクラッキオーロの全身が、戦闘態勢に入る。
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