アレクセイは、戦争が始まる直前デボア家の男達に拉致され、どこかへ向かう船に連れて行かれる。 それは、アメリカへ向かう豪華客船だった。 彼は当主になるための”最後の試練”を乗り越え、見事、デボア家の後継者となる。 故国、セルビアを想いながら、アレクセイは当主としての教育を受け、三年後、戦火を逃れていたアメリカで、正式にデボア家当主となった。
そこで、彼は真実を知る。
ベアトリスと父・グスタフとの不義の子は、自分の血を引いた子であったということを。 それを、彼は”エピラン家”の男と名乗る者から告げられる。 アレクセイは怒り狂った。 彼らの口車に乗せられ、愛するベアトリスと自分の子を失い、憎んでいたとはいえ、父親を自らの手で殺めたのだ。 そんな姿を見た先代のデボアは、アレクセイに告げる。 「我らデボアの血を引いた者は、修羅の道を歩まねばならん。自分の傍に、愛する者を置いてはならんのだ」 だから、ベアトリスと子供を排除したのだと、彼は言った。
「先代の言う意味が、そのときは分からなかったが、今となっては、その”意味”がよく理解できる・・・」
アレクセイは、ベアトリスの行方を捜した。 彼女はセルビアを出たあとフランスへ戻り、戦火を生き抜いたが、アレクセイとの子供を出産した直後、息を引き取っていたことが分かった。 生まれ出た子は女の子で、エピランの男がアメリカへ連れ去っていたことが分かった。 それが、バリーとアンジェリアの母親ミミ、ミシェル・イバニセビッチだった。
「こんな酷い世界を憎んだ。デボア家も、父親も、私も・・・」
アレクセイは、金の為に”狂気”の世界を創った”統べる者”たちの存在を聞かされ、デボア家がその一員であることを知り、”彼ら”を倒すべく、デボア家の後継者となった。 そして、ジャン・デボアと名乗る。
「お前が、妹のアンジェリアを愛していたことは、分かっていた」 ジャン・デボアの言葉に反応し、バリーは彼を睨みつけた。 「あの子が殺されることは、”必然”だったのだ・・・」 ジャン・デボアが続けた。 「何だと!?」 バリーはジャン・デボアの襟首を掴んだ。 「じじい、アンが殺されるのは、分かっていたということか!?」 それを制止しようと、モビーディックが割って入った。だが、それはジャン・デボアによって止められる。 「構わん。この子の好きなようにさせなさい」 「しかし・・・」 ジャン・デボアはモビーディックを下がらせた。 「アンジェリアが殺されるのは、分かっていた。お前のために、あの子を助けることが出来なかった。・・・あの子は、死に行く運命だったのだ」
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