ヴァージニア州ラングレー。
ジョージ・スピラーンは、駐車場で男が出て来るのを待った。 ボンネットの上にあった時計に、目を滑らせる。デジタルの文字が、朝の3時を示していた。こんな時間でも、数台の車が停まっていた。 ふとエントランスを見ると、一人の男が出てきた。 キーを出しながら、男は足早に車に駆け寄ると、ふと背後を見た。 「貴様、誰だ・・・!?」 そこには、ネクタイを緩めたジョージが立っている。 「こんな時間に、申し訳ありませんね。私は、FBI特別捜査官のジョージ・スピラーンです」 そう言いながら、ジョージはバッジを見せた。 「秘密作戦室の、セドリック・マッコーリーですね?」 「FBIが、私に何の用だね?」 「貴方に、少し聞きたいことがありまして」 「私は忙しい。FBIに協力出来る事などは、無い」 マッコーリーは、車に乗り込もうとした。 「二日前、ここから数マイルしか離れていない廃工場で、惨殺された4人の男達についてです」 ジョージの言葉に、マッコーリーの動きが止まった。 「4人のうちの1人が、殺される直前に電話をかけていた事が分かりましてね・・・。その電話番号が、貴方の直通番号だったという訳です」 ジョージは手帳から、最後に殺された4人目の男の写真を見せた。 「この男が、貴方に何を言ったのか・・・。教えてもらえませんか?」 マッコーリーは、笑みを浮かべながら、ジョージの顔を見た。 「君に言うと思ったのかね?国家の機密を話した場合、それは君のような一介の特別捜査官ごときが介入できる事ではない」 「では、仕方が無い。貴方には、トーマス・パワーズ殺害幇助の、嫌疑がかけられます」 「・・・何だと?」 ジョージは表情を崩さないまま、手帳を開いた。 「二日前、貴方と同じ秘密作戦室の、エドナー・ガーツ邸で3人の男が殺害された。彼らは、皆即死だった。だが、ガーツの行方も不明となっている」 マッコーリーは口を閉ざしたまま、ジョージを見据えた。 「CIA職員が使う家だ。セイフ・ハウスの筈だが、3人も殺されている」 ジョージは笑みを浮かべ、話を続けた。 「貴方達のことだ。普通はそこで誰かが死んでも、事を表沙汰に出来ない場合、CIAは自分達で死体を処理すると聞きました。だが、そのセイフ・ハウスで3人殺されたのです。しかも、それはある男の通報によって判明した」 「ある男・・・?」 ジョージは、小さく頷いた。 「男は、自分で3人を殺したと警察に告げ、姿を消しました。男の名は、バリー・タウバー」 その名前を口にしたとき、マッコーリーの眉が微かに上がったのを、ジョージは見逃さなかった。 「廃工場で惨殺された4人は、トーマス・パワーズを殺害した犯人だ。そのトーマス・パワーズは、バリー・タウバーが経営する「タウバー商会」のコントラクターだった。タウバーの凍結したアメリカの口座からは、何度かガーツから入金を受けている・・・」 それは、バリーとCIAが繋がっていることを示していた。 「バリー・タウバーは、イスラエルへ武器を輸出していたようですね」 ジョージは、マッコーリーの顔を見た。もう、彼は硬い表情を浮かべたままだった。 「どうせ、貴方達のことだ。汚い裏取引があったのでしょう」 挑発するジョージの言葉に、口を閉ざしていたマッコーリーは、怒声を上げた。 「私は、この国の為にやっていることなのだ!貴様に言われる筋合いは、無い!」 その声で、ジョージは更に冷静になって行った。彼は、笑みを浮かべながら、軽く拍手した。 「素晴らしい忠誠心だ」 思わず言葉を漏らしてしまったマッコーリーは、ジョージの表情を読んで、自らの過ちに気付いた。彼は、この殺害事件に関わっていることを、この男に悟られたのである。 マッコーリーは車へ乗り込み、車のエンジンをかけた。窓を開け、ジョージに吐き捨てる。 「言っておくが、我々よりも貴様らFBIの方が、司法という化けの皮を被った悪魔どもだぞ」 そう言うと、マッコーリーはその場を去った。 「FBIが・・・?どういう意味だ?」
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