バリーはポケットから煙草を取り出すと、一本くわえ、火を点けた。 「ただし、まだ正式ではない。”最後の試練”とやらが、まだらしい」 ガーツは思わず一笑に付した。 「そうか。俺を助けるということは、まだ俺に利用価値があるということだな」 「そういうことだ。アンタも、俺を利用するがいい。持ちつ、持たれつってことさ」 この男は、いずれ自分を殺すだろう。だが、現状を打破できるのは、この男だけだった。そう思い、ガーツはバリーの冷徹な眼を見据える。 「今は、お前と手を組むしか、道は無いようだ」 「それが一番、得策だ。一旦、この国を出る」 バリーはガーツを見て、小さく頷いた。
午前0時を過ぎたアンダーソン飛行場に、YC-15輸送機が着陸体勢に入った。その滑走路に、二台の車が停まっている。 「来たぞ」 そう言うと、バリーが運転席から出て、着陸するYC-15を迎え出た。彼に続き、ナビシートからガーツ、後ろの車からクルーエル、マッカビー、ホアが降り立った。 YC-15が着陸し、彼らが立っていた車の前に停止する。後部ハッチが開き、中から重装備の男達が出てきた。 その先頭に、黒い眼帯をした男がいる。”モビー・ディック”だった。 「クソ坊主、待たせたな!」 重装備の男達は、ガーツにFA-MASの銃口を向ける。それに対し、ガーツはバリーを睨みつけた。 「悪いが、助けるといっても、アンタは要注意人物なんでな。コレくらいは我慢しろよ」 バリーが言った。ガーツはバリーを睨んだまま、男達と共に機内へ入った。 「いいのか?あの男を、また生かすようだが」 モビーディックが言った。 「奴は、まだ利用できる。魂が枯れるまで、精気を吸い取るまでだ」 そう言いながら、バリーは煙草をくわえた。 「”今度”は、失敗するなよ」 モビーディックも、そう言いながら葉巻をくわえた。そして、バリーの後方を見る。その視線に気付いたバリーは、後ろを振り返った。 クルーエルとマッカビー、ホアは、何も言わなかった。バリーには、彼らが言わんとしていることが、手に取るように分かっていた。 「バリー、俺達は・・・!」 「分かってるさ」 クルーエルの言葉を、バリーはわざと遮った。 「ガーツを、何故生かすのか、だろ?」 バリーは、煙草に火を点けた。クルーエルたちは、彼の言葉を待った。 「もう少し・・・。もう少しだ。こんなクソ世界は、俺がこの手で、捻り潰してやる・・・!」 バリーの透き通った水色の瞳に、再び冷徹な光が、宿り始めた。
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