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作品名:サイレンス 作者:ぴきにん

第249回   249
バリーは右端の男を見ると、その前に立つ。口を塞がれた男は、必死で縛られた手足を動かし、もがいた。
マチェットナイフをかざし、ためらいもなく、男の腹に突き刺した。
男は、筆舌に尽くしがたい叫び声を上げた。
バリーは突き刺したマチェットを、へその下から首にかけて、一気に割いた。
血飛沫と共に、内蔵が飛び出す。地獄の苦しみを味わいながら、男の身体は激しく痙攣した後、ゆっくりと絶命していった。
身体中に血飛沫を浴びても、バリーは眉一つ動かさなかった。
その光景を見ていた残りの3人は、口を塞がれたまま、あまりの恐怖に声を失った。

「おい・・・あいつは、一体、何をしているんだ・・・?」
扉の前にいたブルース・マッカビーが、クルーエルに言った。
クルーエルは時折中から聞こえる、男たちの叫び声を聞きながら、身体に走る震えを感じていた。
「おい!」
不安を感じていたマッカビーが、クルーエルの腕を掴む。
「黙ってろ!」
クルーエルはマッカビーを睨みつける。
「あいつは、また独りで戦いを始めたんだ・・・!」
「独りで・・・?どういうことだ?」
「俺たちを、巻き込むまいとしてるのさ・・・」

3人目を無残に惨殺したあと、バリーはマチェットについた血を振り払った。
最後の一人は、その透き通った水色の瞳見た。
バリーの眼は、痛みも恐怖も、何の感情も浮かんではいなかった。
椅子に縛られた男は、首を横に振った。
死を覚悟したとはいえ、あのように無残に死ぬことは、我慢ならなかった。
バリーは最後の男の前に立つと、マチェットを掲げたまま、冷徹な眼で男を見下ろした。
「どうした、死ぬことが怖いのか?」
口を塞がれた最後の男は、恐る恐るバリーを見る。そして、小さく頷いた。それを見たバリーは、男の口に貼られたテープを剥ぎ取った。
「今から俺の言うことを聞けば、助けてやる。どうだ?」
「わ、分かった。何でもやる。助けてくれるのなら・・・」
男は震える声で、それに応えた。
それを見たバリーは、男が縛られている椅子の背もたれを掴むと、椅子ごと男を引きずった。目の前には、フォード・コブラが停まっている。扉を開け、中から自動車電話の受話器を取り出すと、男の前に突き出した。
「CIA秘密作戦室のセドリック・マッコーリーに電話しろ。エドナー・ガーツが情報を漏らしたせいで、バリー・タウバーに殺されるとな」
男の額から、冷たい汗が流れ落ちた。
「ほ、本当に、それを言えば助けてくれるんだな・・・?」
その言葉に、バリーは頷いた。


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