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作品名:サイレンス 作者:ぴきにん

第239回   239
「ビジネスマンだと?」
クラッキオーロが立ち上がる。
「他の人質はどうした?」
「悪いが、急いでるんだ」
そう言うと、バリーは踵を返した。ふと立ち止まり、また振り返る。
「そうだ、いいことを教えてやろう。この作戦は、失敗するように仕向けられているぞ。気を付けろよ」
その時、ドアの外で数人の人間が走ってくる音が響いた。
「失敗・・・?どういうことだ?」
クラッキオーロの無線に、デルタチームの声が入る。
「ブラボー1、その男を撃て!」
バリーは、部屋の奥にあった扉へ入った。
「クソ!」
クラッキオーロは、それを追う。マカリスターとライリーもそれに続く。直後に部屋に入ったデルタチームの二人も、それに続いた。残りの二人は、建物の外へ走る。

階下の部屋には、壁に穴が開いていた。バリーは、その中へ入る。地下室から、外へ出られる穴だった。中には、モラレスが待っていた。
「ここから外へ出られる。行け!」
バリーが言うが、モラレスの表情はさえなかった。
「この穴は外へ出られるが、大使館の外へは出られない!私も調べたが、抜け道など、どこにも無いのだ!」
「あるんだよ。”パックス・ロマーナ”がな」

クラッキオーロが同じ穴に入り、建物の外へ出ると、中庭へ走るバリーと、もう一人の男を見た。
彼は、マカリスターとライリーと共に、それを追う。
そこへサイドから、分かれたデルタの隊員がバリーとモラレスを追った。彼らは何も警告せず、二人に銃口を向ける。
「待て、二人はイラン人じゃない!」
クラッキオーロが叫ぶ。だがそれを無視し、デルタは彼らを撃った。

「デイビッド、奴らに追われてる!」
バリーが無線で叫んだ。クルーエルが「了解」と返した瞬間、前方で走っていたモラレスが撃たれた。彼は胸を撃ち抜かれ、その場に倒れこむ。
「クソ!」
バリーが立ち止まる。それを見ていたクラッキオーロが、彼らの前に立ちはだかった。
「止めろ、彼らは敵ではない!」
だがデルタチームは、同じ作戦グループである筈の彼らにまで、銃口を向けると、何のためらいもせず、トリガーを引いた。
マカリスターとライリーが倒れる。二人は、顔面を撃ち抜かれた。
クラッキオーロは咄嗟に身を翻すが、弾丸は右腕に当たった。
「な、何故・・・」
倒れた彼の頭に、デルタの一人が銃口を向けた。
「最初から、この作戦には”犠牲”が必要だったんだ。それが、お前たちだったという訳だ・・・」
その言葉に、クラッキオーロは混乱した。


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