「ビジネスマンだと?」 クラッキオーロが立ち上がる。 「他の人質はどうした?」 「悪いが、急いでるんだ」 そう言うと、バリーは踵を返した。ふと立ち止まり、また振り返る。 「そうだ、いいことを教えてやろう。この作戦は、失敗するように仕向けられているぞ。気を付けろよ」 その時、ドアの外で数人の人間が走ってくる音が響いた。 「失敗・・・?どういうことだ?」 クラッキオーロの無線に、デルタチームの声が入る。 「ブラボー1、その男を撃て!」 バリーは、部屋の奥にあった扉へ入った。 「クソ!」 クラッキオーロは、それを追う。マカリスターとライリーもそれに続く。直後に部屋に入ったデルタチームの二人も、それに続いた。残りの二人は、建物の外へ走る。
階下の部屋には、壁に穴が開いていた。バリーは、その中へ入る。地下室から、外へ出られる穴だった。中には、モラレスが待っていた。 「ここから外へ出られる。行け!」 バリーが言うが、モラレスの表情はさえなかった。 「この穴は外へ出られるが、大使館の外へは出られない!私も調べたが、抜け道など、どこにも無いのだ!」 「あるんだよ。”パックス・ロマーナ”がな」
クラッキオーロが同じ穴に入り、建物の外へ出ると、中庭へ走るバリーと、もう一人の男を見た。 彼は、マカリスターとライリーと共に、それを追う。 そこへサイドから、分かれたデルタの隊員がバリーとモラレスを追った。彼らは何も警告せず、二人に銃口を向ける。 「待て、二人はイラン人じゃない!」 クラッキオーロが叫ぶ。だがそれを無視し、デルタは彼らを撃った。
「デイビッド、奴らに追われてる!」 バリーが無線で叫んだ。クルーエルが「了解」と返した瞬間、前方で走っていたモラレスが撃たれた。彼は胸を撃ち抜かれ、その場に倒れこむ。 「クソ!」 バリーが立ち止まる。それを見ていたクラッキオーロが、彼らの前に立ちはだかった。 「止めろ、彼らは敵ではない!」 だがデルタチームは、同じ作戦グループである筈の彼らにまで、銃口を向けると、何のためらいもせず、トリガーを引いた。 マカリスターとライリーが倒れる。二人は、顔面を撃ち抜かれた。 クラッキオーロは咄嗟に身を翻すが、弾丸は右腕に当たった。 「な、何故・・・」 倒れた彼の頭に、デルタの一人が銃口を向けた。 「最初から、この作戦には”犠牲”が必要だったんだ。それが、お前たちだったという訳だ・・・」 その言葉に、クラッキオーロは混乱した。
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