「お前は、誰だ?」 伏せられたその男、マイケル・モラレスが応える。 「俺は、バリー・タウバー。依頼を受けて、アンタだけを救出に来た」 「私だけだと?どういう意味だ?」 「それは、アンタがよく分かっている筈だ」 バリーはモラレスの両手を、後ろ手に縛ると、彼の上体を起こした。 「イランに、核が持ち込まれた事実・・・。アンタが、最初に”掴んだ”らしいな」 バリーの言葉に、一瞬モラレスの表情が変わった。 「だが、アメリカ政府はアンタの存在を、煙たがっている。いや、アンタを、消しにかかろうとしている」 「まさか・・・」 モラレスの額から、一筋の汗が流れ落ちた。 「”イーグル・クロー作戦”。この大使館で、人質になっている大使館員と海兵隊員を救出に、まもなく”デルタフォース”が突入してくる」 バリーは、言葉を続けた。 「救出作戦とは名ばかりの、アンタを暗殺する為の作戦だ。しかも作戦自体、失敗するように仕組まれている」 バリーは、モラレスを立たせた。モラレスは眼を見開き、バリーの言葉に耳を傾けた。彼は自分が殺される”理由”を、悟っていた。 「では、私だけを救出せよと依頼した、君のクライアントは誰なんだ?」 「”聖統合教会”のチェ・ジュンスだ」 「KCIAか・・・!」 バリーは小さく頷いた。モラレスの言葉で、バリーは自分の読みを確信する。 「俺と共に来い。アンタは、アメリカに裏切られたんだ」 バリーに告げられた真実に耳を疑いながらも、モラレスは冷静だった。 「分かった・・・。君とここを脱出する。だから、縄を解いてくれ」 バリーは一瞬、戸惑った。 「ここから脱出するのに、私も少なからず応戦出来る。君の負担も軽減できるぞ」 その言葉に納得し、モラレスの手を縛っていた縄を解いた。 「銃も貸してくれ」 モラレスは手を差し出すが、バリーは首を横に振った。 「それは駄目だ。アンタを、信用した訳ではない」
サミュエル・クラッキオーロは、アルファチームの後方に就いた。 5チーム全てが東西南北に配置され、突入の合図を待つ。 そして、無線からその号令が発信された。 「突入する!」
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