20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:サイレンス 作者:ぴきにん

第237回   237
「お前は、誰だ?」
伏せられたその男、マイケル・モラレスが応える。
「俺は、バリー・タウバー。依頼を受けて、アンタだけを救出に来た」
「私だけだと?どういう意味だ?」
「それは、アンタがよく分かっている筈だ」
バリーはモラレスの両手を、後ろ手に縛ると、彼の上体を起こした。
「イランに、核が持ち込まれた事実・・・。アンタが、最初に”掴んだ”らしいな」
バリーの言葉に、一瞬モラレスの表情が変わった。
「だが、アメリカ政府はアンタの存在を、煙たがっている。いや、アンタを、消しにかかろうとしている」
「まさか・・・」
モラレスの額から、一筋の汗が流れ落ちた。
「”イーグル・クロー作戦”。この大使館で、人質になっている大使館員と海兵隊員を救出に、まもなく”デルタフォース”が突入してくる」
バリーは、言葉を続けた。
「救出作戦とは名ばかりの、アンタを暗殺する為の作戦だ。しかも作戦自体、失敗するように仕組まれている」
バリーは、モラレスを立たせた。モラレスは眼を見開き、バリーの言葉に耳を傾けた。彼は自分が殺される”理由”を、悟っていた。
「では、私だけを救出せよと依頼した、君のクライアントは誰なんだ?」
「”聖統合教会”のチェ・ジュンスだ」
「KCIAか・・・!」
バリーは小さく頷いた。モラレスの言葉で、バリーは自分の読みを確信する。
「俺と共に来い。アンタは、アメリカに裏切られたんだ」
バリーに告げられた真実に耳を疑いながらも、モラレスは冷静だった。
「分かった・・・。君とここを脱出する。だから、縄を解いてくれ」
バリーは一瞬、戸惑った。
「ここから脱出するのに、私も少なからず応戦出来る。君の負担も軽減できるぞ」
その言葉に納得し、モラレスの手を縛っていた縄を解いた。
「銃も貸してくれ」
モラレスは手を差し出すが、バリーは首を横に振った。
「それは駄目だ。アンタを、信用した訳ではない」

サミュエル・クラッキオーロは、アルファチームの後方に就いた。
5チーム全てが東西南北に配置され、突入の合図を待つ。
そして、無線からその号令が発信された。
「突入する!」



← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 1114