”世界の警察・アメリカ”が、人質解放のために、犯人の要求を呑んだという噂が、中東各地で広がっていた。 「国で耳にした”噂”は、本当だったのか・・・!?」 「だが、それはあくまで”表向き”の話です。真実は・・・」 バリーは、身を乗り出した。それに伴い、サラディンも彼に顔を寄せる。その”真実”を、サラディンの耳元で囁くと、彼は眼を光らせた。 「面白い・・・」 バリーの隣に座っていたターナーは、額から汗を流していた。 「そこで、貴方にはイランと交渉していただきたいのです。各方面に有力なコネを持っている貴方なら、容易なはずだ」 その言葉に、サラディンが頷いた。 「では、お前がアメリカからのルートを、確保するのか?」 「はい。アメリカから、一旦イスラエルに入ります」 「イスラエル!?」 サラディンが声を上げた。 ユダヤ人が、イギリスの介助によってパレスチナに入植し、イスラエルを建国して以来、イスラエルはイスラム圏にとって宿敵のはずだった。 それをこの男は、イスラエルを巻き込むと言っているのだ。 「ナサニエルが、何と言うかな」 甘い香りの煙を吐き出しながら、サラディンが呟いた。吸っていた煙草を、灰皿に押し付け、 「大丈夫ですよ。彼も、"死の商人"ですから・・・」 と、バリーは不敵な笑みを浮かべた。
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