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作品名:サイレンス 作者:ぴきにん

第189回   189
特別捜査官・ジョージ・スピラーンが、そのニュースを見たのは、出張先で来ていたシカゴのホテルだった。
その日の朝、ジョージは部屋を出てチェックアウトを済ませようとしていた。ロビーで流れていたCNNのニュースで、彼は聞き慣れた名前を耳にした。
「昨夜、イーストエルムにある商業ビルで、爆発事故がありました。焼け跡から焼死体が発見され、この遺体は食品輸入総合商社“タウバー・商会”の社長、バリー・タウバー氏と見られています」
ジョージは、画面に見入った。爆発事故現場の映像が流れ、画面の脇にバリーの写真が出ている。
「まさか・・・!」
急いでチェックアウトを済ませると、レンタカーに乗り込み、車を発進させた。

シカゴ市警察に来ると、ジョージは今回の爆発事故の担当刑事アダムスにFBIのバッジを見せ、モルグ(死体安置所)に入った。そこに検視官ソローが加わり、運び込まれたバリーの死体を見た。
「これは・・・?」
その死体を見た瞬間、ジョージは困惑した。
「バリー・タウバー、5フィート5インチ」
担当刑事アダムスが言う。だが、その遺体は全身が焼け焦げていた為、性別さえも分からないようだった。
「5フィート5インチ?」
ジョージが呟いた。バリーの身長は、5フィート11インチ(181cm)であったはずだ。この死体は、本当にバリーなのか?彼は眉間にしわを寄せる。
「焦げすぎの、人間バーベキューさ」
検視官ソローが最悪なジョークを言った。
「爆発の原因は調査中だが、どうも胡散臭い」
アダムスが言った。
「胡散臭い?」
「爆発の仕方が、単なる事故ではない気がするんだ。何か、爆発物を仕掛けられたような、そんな爆発の仕方だ」
そう言ってアダムスはゴムの手袋を、ジョージに手渡した。
「事故では無い・・・ということか」
アダムスは頷く。手にした手袋を着けると、ソローと焼死体を横に向かせた。
「見ろよ、背中まで焦げすぎのバーベキューになっている・・・」
ソローが死体を指差しながら、ジョージに説明した。彼は話を続ける。
「爆発した後、火災が起きた。鎮火まで、僅か一時間。爆発によって爆風で全てが吹き飛び、ビルが半壊したものの、火災は酷くなかったんだ。なのに、この死体はじっくり焼かれている。何時間も、念入りにな」
「事故ではなく、事件の可能性が強い・・・」
小さく呟いたジョージの言葉に、アダムスとソローが頷いた。
「身元の照合までは、どれくらいかかる?」
ジョージが言った。ソローは皮ふ組織が破壊されていた為、最低でも一ヶ月以上はかかるだろうと応えた。
「しかし、昨日もこの死体を見に来たFBIがいたぞ」
アダムスが言った。
「誰だ?」
「アンタと同じFBI特別捜査官、ポール・リブキンと言っていた」


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