特別捜査官・ジョージ・スピラーンが、そのニュースを見たのは、出張先で来ていたシカゴのホテルだった。 その日の朝、ジョージは部屋を出てチェックアウトを済ませようとしていた。ロビーで流れていたCNNのニュースで、彼は聞き慣れた名前を耳にした。 「昨夜、イーストエルムにある商業ビルで、爆発事故がありました。焼け跡から焼死体が発見され、この遺体は食品輸入総合商社“タウバー・商会”の社長、バリー・タウバー氏と見られています」 ジョージは、画面に見入った。爆発事故現場の映像が流れ、画面の脇にバリーの写真が出ている。 「まさか・・・!」 急いでチェックアウトを済ませると、レンタカーに乗り込み、車を発進させた。
シカゴ市警察に来ると、ジョージは今回の爆発事故の担当刑事アダムスにFBIのバッジを見せ、モルグ(死体安置所)に入った。そこに検視官ソローが加わり、運び込まれたバリーの死体を見た。 「これは・・・?」 その死体を見た瞬間、ジョージは困惑した。 「バリー・タウバー、5フィート5インチ」 担当刑事アダムスが言う。だが、その遺体は全身が焼け焦げていた為、性別さえも分からないようだった。 「5フィート5インチ?」 ジョージが呟いた。バリーの身長は、5フィート11インチ(181cm)であったはずだ。この死体は、本当にバリーなのか?彼は眉間にしわを寄せる。 「焦げすぎの、人間バーベキューさ」 検視官ソローが最悪なジョークを言った。 「爆発の原因は調査中だが、どうも胡散臭い」 アダムスが言った。 「胡散臭い?」 「爆発の仕方が、単なる事故ではない気がするんだ。何か、爆発物を仕掛けられたような、そんな爆発の仕方だ」 そう言ってアダムスはゴムの手袋を、ジョージに手渡した。 「事故では無い・・・ということか」 アダムスは頷く。手にした手袋を着けると、ソローと焼死体を横に向かせた。 「見ろよ、背中まで焦げすぎのバーベキューになっている・・・」 ソローが死体を指差しながら、ジョージに説明した。彼は話を続ける。 「爆発した後、火災が起きた。鎮火まで、僅か一時間。爆発によって爆風で全てが吹き飛び、ビルが半壊したものの、火災は酷くなかったんだ。なのに、この死体はじっくり焼かれている。何時間も、念入りにな」 「事故ではなく、事件の可能性が強い・・・」 小さく呟いたジョージの言葉に、アダムスとソローが頷いた。 「身元の照合までは、どれくらいかかる?」 ジョージが言った。ソローは皮ふ組織が破壊されていた為、最低でも一ヶ月以上はかかるだろうと応えた。 「しかし、昨日もこの死体を見に来たFBIがいたぞ」 アダムスが言った。 「誰だ?」 「アンタと同じFBI特別捜査官、ポール・リブキンと言っていた」
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