三ヵ月後、ムジャヒディンのリーダー、シール・タリブに二度目の武器を納品した。そこでタリブに、バリーは訓練の必要性を話す。 「訓練は、敵を圧倒させるだけではなく、ムジャヒディン達の命も守る。するべきだ」 そう言うと、訓練は自分の商社が請け負うと申し出た。 「これも、我が社のサービスだ」 バリーはタリブの信用を勝ち得ていった。
そして1976年1月、バリーを呼び出したシール・タリブは、彼に“あること”を依頼する。 「お前に、売って欲しいものがある」 タリブのテントで、テーブルの上一面に地図を広げると、彼はある地点を指差した。 「ここに、あるものが埋まっている」 バリーは、それが“ウラン”だと直感する。タリブは、アフガニスタンに必要なエネルギーということで、一度ウランの調査をしたとの事だった。そこには、広大なウラン鉱床が埋まっている。 だが、ウランは今のアフガニスタンではそれを活用することは出来ない。だとすれば、それを金に替えて、まずは経済を立て直す必要があると、タリブは考えていた。 「だが、ソ連だけは駄目だ。やつらは、さらに力をつけてしまう」 タリブが言った。バリーは彼の眼を見据えると、深く頷いた。 「俺に、任せてくれ」
1976年2月、カブールのソ連大使館にいたアノヒンが、同じ階にいたブリュハノフに耳打ちする。 「タウバーから連絡が入りました。これから探鉱に入るようです」 それを聞いたブリュハノフは、満足げな表情を浮かべていた。
同じ時期、バリーは香港にいた。ネクタイを正し、フォーシーズンズホテル香港の、エレベーターに乗る。それは最上階のスイートルームに向かう、プライベートエレベーターだった。 扉が開くと、黒いスーツを着たアジア人の男が、バリーの身体をチェックする。 「通っていい」 男の一人が言った。武器携帯を調べたようだ。 その奥にある扉を開くと、ヴェルサーチのスーツを着た細身のアジア人が立っていた。 「ようこそ、いらっしゃいました。貴方が、ミスター・タウバーですね」 男は流暢な英語で、柔和な笑みを浮かべながら、バリーに握手を求める。バリーはそれに応えた。 「お招き頂き、光栄です」 男はバリーにソファを勧めた。男の名は許鳳竜。中国人民解放軍総参謀部第二部の武官、つまり軍情報部の諜報員だった。 「ISIのムハンマド・ウル・シェイブから聞いています。我々に、お話があるとか・・・」 許はバリーの顔を覗き込んだ。 「ええ。あなた方にも、我々にも、非常に有益な話です」 バリーはそう言うと、口元に笑みを浮かべた。
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