ペシャワール、カイバル峠、パキスタン国境のランディコタル、アフガニスタンのジャララバードで、バリーは自分を監視している“気配”に気付いていた。 「やはり、間違いない・・・」 バリーは、一か八かの“賭け”に出る。 カブールに到着し、ホテルを取り、久しぶりに髭を剃っていた時に、“それ”は訪れた。 ドアをノックする音が響き、ドア越しに誰かと尋ねると、ルームサービスと応えた。バリーがドアを開けると、三人のスーツを着たアフガンの男が、中に入った。彼らはバリーに銃を向ける。 「な、何だアンタたちは!?」 両手を挙げながら、バリーが震える声で言った。 「我々は、KHADだ。おとなしく、着いて来い!」 KHAD、アフガン秘密警察である。 「お、俺が何したってんだ・・・!」 男の一人が、バリーの襟首を掴み、彼の首に銃を突きつけた。 「死にたくなければ、おとなしくしろ!」
気付くと、バリーは警察署の薄暗い地下室で、尋問を受けていた。 湿気と、カビの臭いが酷い。目の前のライトが眩しかった。何度も殴られた為、口の中を切ったらしく、血が滴り落ちているのが分かった。 バリーは椅子に座らされ、手を後ろで縛られていた。 「お前は、何者だ!?」 秘密警察のオフィサーが声を荒げた。 「さっきから何度も言ってるように、俺はタダのビジネスマンだ・・・」 何度も繰り返されたバリーの同じ答えに、オフィサーの一人がデスクを蹴飛ばし、彼を殴った。縛られた椅子ごと、床に倒れる。オフィサーはバリーの襟首を掴み、彼の耳元で怒鳴った。 「嘘をつけ!貴様、シール・タリブと会っていただろう!」 「会えなかったんだ・・・。こっちも大損さ・・・取引出来なかったんだからな」 その言葉にオフィサーは、もう一人のオフィサーと顔を見合わせる。二人で何かを話していた。 「頼むよ・・・俺は死にたくないんだ・・・。命だけは助けてくれ」 バリーが泣き声で、彼らに訴えた。二人のオフィサーの奥には、一枚の鏡が立てかけられている。 「助けてくれるのなら、何でもするよ」 その時、ドアが開き一人の男が入ってくる。 「本当に、何でもするのか?」 バリーは、倒れた地面から、その男を見上げた。 筋骨逞しい、バリーと同じ瞳の色を持った男が、膝を屈し、バリーの顔を覗き込んだ。ロシア語訛りの英語だ。 「何でもする。助けてくれるのなら!」
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