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作品名:サイレンス 作者:ぴきにん

第176回   176
ペシャワール、カイバル峠、パキスタン国境のランディコタル、アフガニスタンのジャララバードで、バリーは自分を監視している“気配”に気付いていた。
「やはり、間違いない・・・」
バリーは、一か八かの“賭け”に出る。
カブールに到着し、ホテルを取り、久しぶりに髭を剃っていた時に、“それ”は訪れた。
ドアをノックする音が響き、ドア越しに誰かと尋ねると、ルームサービスと応えた。バリーがドアを開けると、三人のスーツを着たアフガンの男が、中に入った。彼らはバリーに銃を向ける。
「な、何だアンタたちは!?」
両手を挙げながら、バリーが震える声で言った。
「我々は、KHADだ。おとなしく、着いて来い!」
KHAD、アフガン秘密警察である。
「お、俺が何したってんだ・・・!」
男の一人が、バリーの襟首を掴み、彼の首に銃を突きつけた。
「死にたくなければ、おとなしくしろ!」

気付くと、バリーは警察署の薄暗い地下室で、尋問を受けていた。
湿気と、カビの臭いが酷い。目の前のライトが眩しかった。何度も殴られた為、口の中を切ったらしく、血が滴り落ちているのが分かった。
バリーは椅子に座らされ、手を後ろで縛られていた。
「お前は、何者だ!?」
秘密警察のオフィサーが声を荒げた。
「さっきから何度も言ってるように、俺はタダのビジネスマンだ・・・」
何度も繰り返されたバリーの同じ答えに、オフィサーの一人がデスクを蹴飛ばし、彼を殴った。縛られた椅子ごと、床に倒れる。オフィサーはバリーの襟首を掴み、彼の耳元で怒鳴った。
「嘘をつけ!貴様、シール・タリブと会っていただろう!」
「会えなかったんだ・・・。こっちも大損さ・・・取引出来なかったんだからな」
その言葉にオフィサーは、もう一人のオフィサーと顔を見合わせる。二人で何かを話していた。
「頼むよ・・・俺は死にたくないんだ・・・。命だけは助けてくれ」
バリーが泣き声で、彼らに訴えた。二人のオフィサーの奥には、一枚の鏡が立てかけられている。
「助けてくれるのなら、何でもするよ」
その時、ドアが開き一人の男が入ってくる。
「本当に、何でもするのか?」
バリーは、倒れた地面から、その男を見上げた。
筋骨逞しい、バリーと同じ瞳の色を持った男が、膝を屈し、バリーの顔を覗き込んだ。ロシア語訛りの英語だ。
「何でもする。助けてくれるのなら!」


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