バリーとクルーエルは、雇っていたガイドとボディーガード、通訳と別れ、シェイブが運転する車で、パキスタンに入った。 国境付近の警備は手薄で、検問所は数ヶ所しかなく、旅券も見せるだけというものだった。 難なくパキスタン領内に入り、最初の街であるランディコタルに着く。ここは多くの商店街が立ち並び、衣料品や食料品、一流の銘柄である商品までもが並んでいた。 「こんなところで、ロレックスが置いてあるぜ!」 クルーエルが驚いていた。 「本物かどうか、分からんがな」 バリーが笑う。 ここにある商品は、全てアフガニスタンから輸入されてきたものだと、シェイブが説明した。奥まった商店街に行くと、ライフルが一丁1000ドルで売られている。ピストルが40ドル、マシンガンが300ドルだった。 「カイバル製か、銃器製造で有名なダラダムケール製だよ」 シェイブが言った。この街から東にカイバル峠があり、ペシャワールの南西にあったのがダラダムケールという街だった。ここにある銃は、全てその街から来たというのだ。 シェイブは、暴動を起こした“反政府組織”は、ここで銃を買い始めていると言った。 三人はこの街で食事を取った後、カイバル峠を抜け、ペシャワールに向かった。 カイバル峠からペシャワールに入る街道では、山賊が出るとシェイブが言ったが、バリーは構わず進んでくれと言った。 何事も無くカイバル峠を抜け、ペシャワールに入ったときには夜も更けてしまい、三人は街のホテルに泊まった。 「パキスタン国境が、あんなに手薄とな」 ホテルに入ったクルーエルが呟いた。 「“食品”輸出ルートは、決まりだな」 バリーが応えた。
ペシャワールに入って、シェイブが動き始めたのが三日後のことだった。ようやく、“反政府組織”のリーダーに会えるというのだ。 「ようやくか」 そう呟くと、バリーは髭を触りながらホテルのエントランスへ向かった。 エントランスには、アフガン帽を被り、パトゥーを纏った男がいた。シェイブは彼の名をコルボン・アリと紹介した。目つきの鋭い彼に、バリーが握手を交わす。彼はバリーに「お前は、我々が欲しいものを供給する者か?」とシェイブを介して言った。バリーは、自信に満ちた眼で頷く。その眼を見たアリも頷き、アリを含めた四人が車に乗り、ペシャワールを出た。 「ディシュクールへ向かう」 アリが、シェイブを介して言った。ペシャワールから、およそ180マイル(300km)北へ行ったところだという。 「アラカン山を越えるから、長い旅になるぞ」 シェイブが笑う。 「まだ移動するのか・・・」 その言葉で、クルーエルが泣き言を言った。
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