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作品名:サイレンス 作者:ぴきにん

第169回   169
吸っていた煙草から、灰がこぼれ落ちた。
「もう俺は、じいさんとは関係無い」
「それは、どうかな?」
テッドが、笑みを含めた声で応えた。
「デボアは、君を気に入っているようだ」
「興味無いね。第一、“デボア家”って何だ?軍産複合体か?」
バリーはクサラックを飲み干した。
「君が当主の座に座れば、世界の真実が分かるさ」
「全く・・・どいつも、こいつも同じことばかり言いやがる」
そう言うと、バリーはもう一本煙草を取り出し、口にくわえた。
「君に渡した情報は、“真実”の一つに過ぎない」
煙草に火を点ける。
「国際麻薬組織、“CENTAC”か・・・。まぁ、にわかには信じられんがな」
「君の気持ちも分かる。確かに、あの書類だけでは確証が無い」
マイクロフィルムに綴られていた“真実”。
それは、ワシントンの司法当局に存在する、“CENTAC”という国際麻薬組織の組織相関図だった。そこには、実在する人物の名前が書かれていた。
「本当に“存在”するのか?」
「“存在”自体、ごく一部の人間しか知らない」
テッドは、話を続けた。
「だが、君も“CENTAC”に介入したことがあった筈だ。ベトナム従軍時にな」
瞬時に、バリーの記憶に閃光が走った。
「あれは、CIAがCIDG計画でやっていた事だ」
「そのCIAに指示を出していたのが、“CENTAC”さ」
テッドは、ベトナムで生アヘンが10kg400から600ドルだったのが、アメリカに入るときには1kgで18000から27000ドルに、跳ね上がっている金額を言う。
「ベトナムから、アメリカに入るまでに、ざっと450倍だ。異常な数字だよ。麻薬取引(ドラッグ・トレード)は、重要な資金源の一つだ。アメリカがベトナムに介入したのは、全てはゴールデン・トライアングル(黄金の三角地帯)が欲しかったからさ」
マイクロフィルムには、“CENTAC”の資金統計額も載っていた。“CENTAC”が生み出した麻薬取引(ドラッグ・トレード)の総計資金は、ゼネラル・モーターズ、フォード、クライスラー、USスチールを合わせた収益を上回っている。これは、驚くべき数字だった。
「それが“真実”だとして、連邦政府は何故それに気付かない?マネーロンダリングは、必ずどこかで入る筈だ。それだけの額が入れば、銀行が黙っちゃいないだろう」
バリーが言った。それに対し、テッドが即座に応える。
「ダラス・NY・サンフランシスコの、連邦準備銀行(地区銀行)を調べてみろ。あそこでマネーロンダリングが集中して行われている」
「分からないな・・・。そんなことをすれば、FRBから査察が入るだろう?」
「査察なんて入るものか。“奴ら”が、アメリカ国民から搾取した国税を、好き勝手に使えるように作られた機関、それが、FRBだからだ」


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