「盗聴器!?」 外に出て、また厳重に鍵をかけ始めた。 「そんなのがあるなら、どうして取らないんだ?」 全ての鍵をかけ終わると、バリーは待ちかねたように煙草に火を点けた。 「取ったって、どうせシンディが忍び込んで着けちまう。イタチごっこさ」 既に夕陽が沈みかけていた。倉庫から、シカゴ港を行き交う商船が見える。海も船も、全てが紅く染まっていた。 「でも、たまにはそれを“利用”も出来る。それまでは、奴らのやりたいように、やらせとけばいいんだ」 バリーが笑った。クルーエルはつくづく、彼は変わっている男だと思っていた。 その上、どこか憎めない。 クルーエルは、この男と同じ船に乗るのも、悪くないと感じていた。 「もう、次のミッションは決まっているのか?」 「ああ」 バリーは即座に応える。 「ガーツの“頼みごと”だが、ある人物の救出に向かう」 バリーは煙草の煙を吸い上げる。そして、ゆっくりとそれを吐き出した。 「作戦は俺と、お前だけで決行だ。作戦行動は120時間」 「場所は?」 短くなった煙草を地面に投げ捨てると、靴でその火を消した。それを手で拾いあげる。この場所にいた“痕跡”を消すだめだった。 「ベトナムへ戻る」 「いいね」 クルーエルも笑みを浮かべる。 「それに乗っかって、アイツも救出する」 「あいつ?」 バリーの瞳に、また冷徹な光が宿り始めていた。
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