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作品名:サイレンス 作者:ぴきにん

第159回   159
「盗聴器!?」
外に出て、また厳重に鍵をかけ始めた。
「そんなのがあるなら、どうして取らないんだ?」
全ての鍵をかけ終わると、バリーは待ちかねたように煙草に火を点けた。
「取ったって、どうせシンディが忍び込んで着けちまう。イタチごっこさ」
既に夕陽が沈みかけていた。倉庫から、シカゴ港を行き交う商船が見える。海も船も、全てが紅く染まっていた。
「でも、たまにはそれを“利用”も出来る。それまでは、奴らのやりたいように、やらせとけばいいんだ」
バリーが笑った。クルーエルはつくづく、彼は変わっている男だと思っていた。
その上、どこか憎めない。
クルーエルは、この男と同じ船に乗るのも、悪くないと感じていた。
「もう、次のミッションは決まっているのか?」
「ああ」
バリーは即座に応える。
「ガーツの“頼みごと”だが、ある人物の救出に向かう」
バリーは煙草の煙を吸い上げる。そして、ゆっくりとそれを吐き出した。
「作戦は俺と、お前だけで決行だ。作戦行動は120時間」
「場所は?」
短くなった煙草を地面に投げ捨てると、靴でその火を消した。それを手で拾いあげる。この場所にいた“痕跡”を消すだめだった。
「ベトナムへ戻る」
「いいね」
クルーエルも笑みを浮かべる。
「それに乗っかって、アイツも救出する」
「あいつ?」
バリーの瞳に、また冷徹な光が宿り始めていた。


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