「あんた、誰?」 顔を出したのは、ブルネットの女だった。 「お、俺は・・・」 女はガムを噛みながら、蒼い瞳をクルーエルに向けた。 「デイビッド・クルーエルってもんだが・・・」 女はクルーエルを上から下まで舐めるように見ると、何も言わず背後を振り返り、奥に向かって声を張り上げた。 「バリー、あんたに客だよ!」 「誰だ!?」 奥からバリーの声が聞こえ、相変わらずネクタイを締めた彼が姿を現した。 「おお、やっぱり来たか!」 バリーは女の尻を叩く。 「シンディ、用が無いなら、お前は帰れ!」 その女・シンディはバリーを睨み付け、豊満な胸を揺らしながら、階段を降りていった。 「いい女だな」 バリーはクルーエルを、部屋に迎い入れた。狭い部屋の中に事務用のデスクと二台のソファ、テーブルが置いてあるだけの部屋だった。 「あの女の名は、シンディ・ハスラム。あの女には、手を出すなよ」 バリーはジャケットを手に取り、鍵を出す。 「あんたの女か?」 バリーは笑みを浮かべる。 「お前に見せたいものがある。付いて来い」 二人は外へ出ると、ビルの前に停めてあったキャディラック・セビルに乗り込み、バリーは車を発進させた。 街を少し走り抜けたところで、バリーは銀色のシガーケースを、助手席に座ったクルーエルに手渡す。 「二台後ろの車を、見てみろよ」 クルーエルは、手渡された銀色のシガーケースを鏡代わりに、バリーの言うように二台後ろの車を見た。 「女・・・?」 二台後ろの車を運転していたのは、髪を一つに結い上げ、サングラスをかけた女だった。 「さっきのシンディさ。あの女は、ガーツの部下だ」 「ガーツって・・・まさか、MACVのガーツか!?」 バリーはクルーエルが持っていたシガーケースを奪い取ると、中から煙草を取り出し、火を点ける。 「あの女に手を出してもいいが、アソコをちょん切られた後、海に沈むことになるぞ」 バリーは大声で笑った。 「ただし、あの女のテクニックは“天国”そのものだがな!」 呆気に取られたクルーエルは、未だこの状況が理解できなかった。 「掴まってろ、あの女をまくぞ!」 「あんた、一体何の仕事を始めたんだ!?」 バリーはアクセルを踏み込み、スピードを上げる。エンジンが、憤怒の唸り声を上げた。
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