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作品名:サイレンス 作者:ぴきにん

第157回   157
「あんた、誰?」
顔を出したのは、ブルネットの女だった。
「お、俺は・・・」
女はガムを噛みながら、蒼い瞳をクルーエルに向けた。
「デイビッド・クルーエルってもんだが・・・」
女はクルーエルを上から下まで舐めるように見ると、何も言わず背後を振り返り、奥に向かって声を張り上げた。
「バリー、あんたに客だよ!」
「誰だ!?」
奥からバリーの声が聞こえ、相変わらずネクタイを締めた彼が姿を現した。
「おお、やっぱり来たか!」
バリーは女の尻を叩く。
「シンディ、用が無いなら、お前は帰れ!」
その女・シンディはバリーを睨み付け、豊満な胸を揺らしながら、階段を降りていった。
「いい女だな」
バリーはクルーエルを、部屋に迎い入れた。狭い部屋の中に事務用のデスクと二台のソファ、テーブルが置いてあるだけの部屋だった。
「あの女の名は、シンディ・ハスラム。あの女には、手を出すなよ」
バリーはジャケットを手に取り、鍵を出す。
「あんたの女か?」
バリーは笑みを浮かべる。
「お前に見せたいものがある。付いて来い」
二人は外へ出ると、ビルの前に停めてあったキャディラック・セビルに乗り込み、バリーは車を発進させた。
街を少し走り抜けたところで、バリーは銀色のシガーケースを、助手席に座ったクルーエルに手渡す。
「二台後ろの車を、見てみろよ」
クルーエルは、手渡された銀色のシガーケースを鏡代わりに、バリーの言うように二台後ろの車を見た。
「女・・・?」
二台後ろの車を運転していたのは、髪を一つに結い上げ、サングラスをかけた女だった。
「さっきのシンディさ。あの女は、ガーツの部下だ」
「ガーツって・・・まさか、MACVのガーツか!?」
バリーはクルーエルが持っていたシガーケースを奪い取ると、中から煙草を取り出し、火を点ける。
「あの女に手を出してもいいが、アソコをちょん切られた後、海に沈むことになるぞ」
バリーは大声で笑った。
「ただし、あの女のテクニックは“天国”そのものだがな!」
呆気に取られたクルーエルは、未だこの状況が理解できなかった。
「掴まってろ、あの女をまくぞ!」
「あんた、一体何の仕事を始めたんだ!?」
バリーはアクセルを踏み込み、スピードを上げる。エンジンが、憤怒の唸り声を上げた。


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