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作品名:サイレンス 作者:ぴきにん

第154回   154
バリーは、名刺にあった連絡先で、ダレン・ヘイズを呼び出した。
そこは、誰もいない廃工場だった。
朝日が差し込む工場内に、バリーは独り佇んでいた。煙草をくわえ、火を点ける。
冷え切った空気が、頭を冴えさせた。
そこへ、一台の黒いフォードが入ってくる。バリーの目の前に停まると、中からダレン・ヘイズが降りた。
「やっと、やる気になったのか」
バリーは、何も言葉を発しなかった。ただ、黙ってヘイズを見据えた。
「あんたは、俺と同じ臭いを持ってる。平和に暮らそうなんて、ムシが良すぎるんだよ」
バリーの身体から、殺気が満ち始めた。彼に近寄ったヘイズも、それを感じ取った。
「良い顔だな。初めて俺を投げ飛ばしたときと、同じ眼だ。だがな・・・」
ヘイズはスーツからコルト・パイソンを取り出すと、銃口をバリーの額に向けた。
「俺は、あんたが嫌いなんだ」
バリーの瞳に、怯えは無かった。その眼光に負け、ヘイズはトリガーを引こうとする。
その時、一瞬の衝撃が走り、気付くと自分が構えていたはずのコルト・パイソンの銃口が、自分に向いていた。一瞬にして、バリーはヘイズから銃を奪い取り、目にも止まらぬ速さで、それをヘイズに向けた。
ヘイズは、死を覚悟した。
そのトリガーを、引く。
だが、弾丸は発射されなかった。冷たい汗が、ヘイズの額から流れ落ちる。
コルト・パイソンを右手に持ち、反対の左の掌から、6発の弾丸が零れ落ちた。
バリーは瞬時に、弾丸を抜き取っていた。
「お前を殺るのは、もう少し先だ・・・」
バリーの口元に、笑みが浮かび上がる。
「それまで、人生を愉しめ・・・」
その冷徹で鋭い眼光に、ヘイズは二度目の恐怖を覚えていた。


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