この爆撃の直後、ある偵察部隊がこの353地域に潜入したが、彼らは二人を残し、ほぼ壊滅した。「この爆撃で、NVAは我々を恐れ戦いている。生き残りがいれば、彼らの肩を叩き、彼らをヘリまで連れてくれば良い」という現場の状況を把握できていなかった、MACVの命令だった。おかげで部隊はヘリでLZに到着した瞬間、NVAの集中攻撃に遭い、二人の将校以外は全員戦死する。 4月に再度空爆を行った後、もう一度潜入作戦が組まれた。白羽の矢が当たったのは、バリー・タウバー曹長率いるSOGである。 今回の任務は「COSVN(南ベトナム中央局)が破壊されたか確認。破壊されていない場合は索敵し、幹部を生け捕りにせよ」というものだった。 バリーは任務内容を確認した後、ブリーフィングに備えた。
全員志願者で編成されたSOGは他のチームよりも機密性が高く、任務内容についても一切の他言は禁じられた。もし、違反した場合は1万ドルの罰金と、最高10年の服役が課せられる。任務に赴く際、彼らは身分証明書やドッグタグ(認識票)、財布などをベースに置いていき、アメリカ国籍であることを徹底的に隠した。もしラオス、カンボジア領内で戦死しても、その遺体は回収されず、“国境付近で戦死”と家族に告げられるだけである。 バリーのファティーグにも、階級章などは一切付いていない。他のSOGの隊員には、AK47を所持するものや、ベトコンが着る黒のパジャマなどを羽織る者もいた。
バリーはいつものように、装備を整えるとHQの傍でメンバーを待った。今回もダレン・ヘイズが参加。この男は毎回のように、腰に銀のナイフを装備している。ヘイズ曰く、銀のナイフは肉を切っても、その輝きは失せないと豪語しているのだ。 次にデイビスの後に参加した、デイビッド・クルーエル三等軍曹。まだ弱冠27歳だが、ベトナム・ツアー二回目の古参兵だった。アイダホ出身の彼は、父親の後を継いで農業を営んでいたが、志願してこの部隊に入った。 四人目はトーマス・パワーズ。チーム最年少の21歳で、元は歩兵部隊に所属していたが「LRP隊員募集」の張り紙を見て、ニャチャン(ナトラング)で第5特殊部隊(5th SFG)のリーコンスクールで訓練を受けた人物だった。 今回の任務には、無線機を携行する。この無線を、バリーはパワーズに背負わせた。 最後のメンバーに、今回のみホアが同行することになった。バリーのたっての頼みだった。 ブリーフィングが始まる。バリーは任務内容をメンバーに説明する。 「我々は353地域に入り、COSVNが破壊されたか確認。されてなければ索敵・破壊し、捕虜を捕まえる」 バリーはメンバーの顔を見る。みな自信に満ち溢れていた。 「作戦行動は120時間。しかし捕虜を捕らえた時点で、ヒューイを呼ぶ」 全員内容を把握し、彼らはヒューイに乗り込み、LZ(着地点)に向かった。
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