ガーツはサイゴンのアメリカ大使館に連絡し、ゴールドマンにバリーの過去を調べさせた。そこでバリーの背後にいる組織を知り、ガーツは興奮を覚える。CIAが敵対している組織の一つ「デボア家」だった。 翌日、バリーはガーツのオフィスを訪れる。ガーツの答えは「イエス」だった。バリーが出した条件は、全てのむとの事だった。 「しかし、お前が“デボア家”の後継者候補だったとはな」 ガーツが、不敵な笑みを浮かべる。 「らしいな」 バリーは、この“契約”が様々な危険がはらんでいる事を理解していた。恐らく、もってこの関係は2,3年だろう。MACV、いや第五特殊部隊(5th SFG)がベトナムから撤退するとき、ガーツは自分を消しに来る筈だと、考えていた。その時点では分かっていたが、バリーは決定的なミスを犯す。そのミスとは、彼の唯一の弱点でもあった。 その弱点を、モビーディックも見抜いていた。だが、彼はそれを敢えて口には出さなかった。 「クソ坊主め・・・。この“契約”は失敗するぞ・・・」 モビーディックは、自分に聞かせるように、小さく呟いた。
バリーは今回の帰還で、望みどおり異例の三階級特進を果たす。スペックE-6・二等軍曹(SSG)から、スペックE-9・上級曹長(SGM)に昇進する。
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