アタシの頭が段々と軽くなって行く…。
さらにアキの力が強くなったその時、
『おい！そこで何をしている！』。
遠くから聞こえる声…。
（男の人の声…。この声は…、アタシを助けてくれるの…。それとも…。）
その声に驚き、アタシの首を絞めていた手が一瞬にして外れる。
「ごほっ、ごほっ。」
息苦しい…。
アタシの体が一瞬にして軽くなった。
そして…、走り去る音…。
（アキ…、どこに…行くの…。）
「お嬢さん、大丈夫かい？」
地元の漁師らしい男がアタシに声をかけ、抱きかかえる。
「ア…キ…。ア…キ…を…た…す…け…て…。」
アタシはその男にしがみつき、必死に叫んだつもりだった。
（誰か…、アキを助けて…。）
薄れゆく意識の中で、アタシははっきりと聞き取った。
海に向かって何かが飛び込んだ音を…。
（アキ…。）
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