真っ暗な夜の港。
ただ1台、黒の軽自動車が停まっている。
アキは、昔を思い出したのだろう。
彼の母親からの反対、そしてなにより彼の“裏切り”…。
ずっとずっと泣き続けている。
こんなアキの姿を見たのは始めてだ。
いまから3ヶ月ほど前。
夜の街を徘徊し、警察から逃げる為に入ったドラックストア。
万引きしてその場を去ろうとするアタシの左肩を掴んできたのが最初の出会いだった。
サユリの事件、トオルとの別れ…いつもアキはアタシの傍にいてくれた。
いつもぶっきら棒で、愛想のないアキ。
でも…、アタシを見ていてくれた。
アタシの事を唯一認めてくれた。
『お前は強い目をしている…。』
家族を失い、友達を失い、彼氏を失ったアタシを蘇らせてくれた…。
アタシは1人じゃないって事を教えてくれた…。
そんなアキが今、目の前で泣き続けている。
アタシには…何も出来ないのだろうか…。
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