Warning: Unknown: Unable to allocate memory for pool. in Unknown on line 0 Warning: session_start(): Cannot send session cache limiter - headers already sent in /var/www/htmlreviews/author/12272/12099/90.htm on line 4 500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ 作者:北村 裕志

第90回   90
しばらく沈黙の時間が続く。


アタシはふと外を見る。


遠くにかすかだが光が揺れているのが見える。


(あそこ…。)


外を見るアタシの背後から、静かな口調が聞こえてきた。


「妊娠が分かってから、2週間ほどして私は彼にお腹に子供がいる事を話した。」


「…。」


「彼は最初はとても驚いてた。当然だよな。でも…、微笑んでくれた。『アキ、子供を産もう。』って言ってくれた。……嬉しかった。たとえ、妊娠した事で学校を退学になろうとも、世間に冷たい目で見られようとも、そんなことどうでも良かった。彼と一緒に居れて、彼の子供が産めるなら私はもう何もいらなかった。」


「良かったね。アキ。」


「そうだな…。けれど、私の思い通りにはいかなかった…。」


「もしかして、子供を…。」


「いや、子供は産んだよ。元気な男の子。ちょっと小さめだったけどな。」


アキの口調は相変わらず寂しさを漂わしている。


「彼は、妊娠が発覚した時、『高校を卒業したら一緒になろう。』とも言ってくれた。だから、何の迷いもなく出産を迎える事ができると思っていた。けれど…、さっきも言ったけど彼の家は伝統ある家柄。当然のように彼の両親は反対した。」


「でも、彼がアキと結婚したいと思っているのなら…。」


「ユウ…、お前は両親に反対されたらどうする?」


「ユウには両親がいないから分からないよ…でも…今のユウなら両親に従うかもしれない。」


「まぁ、ユウがひねくれていたのも、両親を亡くしたからだもんな。もし、両親が今も生きていたら、1人で夜の街を徘徊しないだろ?」


「…そうだね。」


「彼は、とっても優しかった。優しかったけど、それは偽りだったかもしれない。」


「偽りって?」


「彼は戦ってくれなかった。私を守ってくれなかったんだ。」


「どうゆうこと?」


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