Warning: Unknown: Unable to allocate memory for pool. in Unknown on line 0
Warning: session_start(): Cannot send session cache limiter - headers already sent in /var/www/htmlreviews/author/12272/12099/9.htm on line 4
500万とメンソールと17歳のアタシ
■ 目次へ
|
作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
|
作者:北村 裕志
|
第9回
9
アキは振り向く事もなく、メンソールのタバコを吸っている。
「来てやったよ。」
アタシは吐き捨てるように言う。
「ユウ、人間って、どうして見た目や育ちや、環境だけで判断するのだろうな。」
「そんな事知るかよ。」
「ユウ、お前は強い目をしている。私は、今までいろんな人間に会って来た。ひどい目にも何度も遭った。今、私は1人だ。ユウ、お前だって1人だろ?私はお前に説教するつもりも、警察に連れて行くつもりも全くない。ただ…、お前を見てると、なんだか同じ匂いがするんだ。」
「同じ臭い?」
相変わらずアタシには、アキの言いたい事が分からない。
「今日は一段と寒いな。ユウ、ちょっと暖まらないか?」
そういうとアキはベンチから立ち上がると、1人でアタシをおいて突然歩き出した。
正直、アタシはアキについて行くべきか迷った。
(アキという女は一体何がしたいんだ?アタシと同じ臭いがするって…。訳分かんねぇ。)
しかし、アキはアタシの気持ちを知ってか知らずか、スピードを落とさず、ただひたすらに歩いていく。
(ここまできたら、あの女に付き合ってやるか。)
アタシはアキについていく事にした。
理由は自分でも分からないが、おそらくアキという女に“楽しみ”を見つけられると感じていたからかもしれない。
アキの背中を見ながらアタシは夜の繁華街から少し外れた、細い道を進んで行く。
アキは何も喋らない。
振り返ろうともしない。
ただ、タバコの煙がうっすらと暗い夜空に浮かび上がる。
後ろから見るアキの姿は大きく見え、けれど暗闇の中で何か影を感じさせた。
(この女はアタシをどうしたいのだろうか…。)
繁華街から外れた細い道をさらに奥へと進むと、やがて一軒の小さな店が見えてきた。
青白い光が入り口を照らしている。
アキはためらいもせずその店の扉を開けると、アタシに何も言わずそのまま中に入っていった。
(スナック…。)
未成年のアタシは、今までスナックなど入った事がない。
スナックなんて、酔っ払いのおじさん達の“たまり場”のイメージしかない。
そんなスナックにアキという女は1人、何のためらいもなく入っていった。
(どうしようか…。でもここまで着いて来たし…。)
アタシは、少しためらいながらも、アキに続いてそのスナックの扉をゆっくりと開けた。
|
|
← 前の回 次の回 → ■ 目次
■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 17333